県都・金沢方面への「無料高速」が充実する石川県。しかし“金沢の手前”に、多くの人を悩ませる渋滞ポイントが存在します。

国道の拡幅に加えて「早急な対策」も動き出していますが、何が原因なのでしょうか。

「無料高速」がスゴい石川の“ガン”

 信号がなく立体交差が基本の「無料高速」ともいえる一般道は、全国ではまだまだ少数派。そうしたなか、これが充実している県のひとつが、石川県です。

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国道8号上り線の松任市街。このあたりから金沢方面に向かって詰まり出した(乗りものニュース編集部撮影)

 金沢から北は、「のと里山海道(旧能登有料道路)」と「能越道」、金沢側でそれに接続する国道159号「津幡バイパス」、さらに接続する「金沢外環状道路(山側環状)」の一部も立体構造です。金沢市街から能登半島北部の輪島市まで100km近く、信号ゼロかつ無料で走れます。

 一方の県南部は、国道8号の能美市と加賀市を結ぶ区間15.6kmが、完全立体交差の「小松バイパス」として2003年に全通しています。現在は4車線化も進み、スムーズに手取川の北まではアクセスできます。

 しかし、そこから金沢方面は平面構造となり、“金沢の手前”に多くの人を悩ませている渋滞スポットがあります。白山市の市街地「松任(まっとう)」エリアです。

 ここの国道8号の渋滞は「いつものことだと思ってあきらめている」「週末の午後はほぼ間違いなく渋滞している」といった声がSNSで見られます。

 実際、土曜の午後に通ってみると、小松バイパスから金沢方面への快適な移動を体験したのも束の間、松任から渋滞が発生。

「なんでこんなに詰まってんの?」と同乗者が漏らすほど進みが悪いものでした。

 特に深刻なのは国道8号の上り線(金沢方面)です。この付近は下り3車線に対し、上り2車線とアンバランスなため、2019年度から「松任拡幅」の名で上り線の3車線化が進められています。

 ただ、これでも抜本的な渋滞解決にはならないと見てか、国土交通省が中心となった委員会で「早急な対策」が必要だとされ、2024年度から追加の事業が始まりました。渋滞の元凶である「乾東(いぬいひがし)」交差点の立体化です。

どうにも進まない渋滞!←「そりゃそうだ!」

 乾東交差点は国道8号に、金沢外環状道路が交わります。環状道路はここを境に南側が「山側環状」(国道157号)、北側が「海側環状」と通称されます。このうち、2000年代から順次開通した海側環状は、中央分離帯に立体の自動車専用部を通す前提のため幅が広く、巨大な交差点となっています。

「なんでこんなに進まないの?」スイスイ国道を台無しにする絶望渋滞 「デカい道路どうしの交差点」はなぜ詰まる? 石川
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完全立体交差の国道8号「小松バイパス」。4車線化も進んでいる(乗りものニュース編集部撮影)

 交差点周辺の交通量は、国道8号の東側で1日あたり5.2万台、海側環状の北側で約3万台、山側環状の南側で約2.3万台。大型商業施設の立地が進み、2022年までの6年間で通行量が1.7倍以上に膨れ上がっているとのこと。

 しかし、国道8号と環状道路ともに交通量が多いため、国道8号の信号が青の時間が他の交差点より20~30秒ほど短く、それがノロノロ渋滞を引き起こしているそうです。

これでは国道8号の車線を増やしても、捌ける交通量は限定されてしまいます。

 立体化事業「乾東局所渋滞対策」は、国道8号の対策ですが、実際に立体化されるのは交通量が少ない従道路である海側環状―山側環状の1.3kmです。これにより、国道8号側の青信号の時間を延長し、混雑緩和を図ります。2025年度は調査設計が進められます。

 石川県内は金沢近郊までの移動は快適になりつつありますが、金沢エリア(金沢―白山市)には県内の渋滞の約8割が集中しています。乾東交差点以外にも、右折レーンの延伸などの局所的な対策が進められています。

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