ミッションインポッシブル最新作には実物の空母の他に原子力潜水艦も。
空母の格納庫内で上映会5月23日に公開されたトム・クルーズ主演の映画「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」。
空母「ジョージ・H・W・ブッシュ」の乗員と写真に収まる俳優トム・クルーズ(画像:アメリカ海軍)。
全世界で高い評価を得ている本作ですが、じつは意外な場所で上映会が実施されています。それはアメリカ海軍の原子力空母の中です。
用いられたのは空母「ジョージ・H・W・ブッシュ」で、同艦の格納庫内でプレミア上映会という形で5月23日に行われました。普段は艦載機を駐機しておくスペースを劇場代わりにして、上映用のプロジェクターや音響機器が設置されただけでなく、快適に楽しめるようにソファータイプの座席や、映画館の定番ともいえるポップコーンやドリンクまで用意されたとか。この特別に用意された「空母映画館」で、乗組員とその家族たちがトム・クルーズの最新作を楽しんだ模様です。
じつは軍艦で映画が上映されるのは決して珍しいことではありません。航行中の軍艦の中には娯楽がなく、乗員のレクリエーションの一環として日常的に行われています。しかしプレミア上映会とは、本来は劇場公開前に関係者や報道陣に対して行う先行上映会のことであり、それが空母の中で行われるのは異例といえるでしょう。
撮影で現役原子力空母をレンタルじつは「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」の一部撮影は実在するアメリカ海軍の空母で行われています。

撮影に協力した空母「ジョージ・H・W・ブッシュ」。ニミッツ級航空母艦の第10番艦で、第41代大統領に因んだ艦名。息子で第43代アメリカ大統領のジョージ・W・ブッシュも、フォード級航空母艦6番艦の艦名に採用されることが決定している(画像:アメリカ海軍)。
大手動画サイトYouTubeで公開されている公式予告編にも、アメリカ海軍の空母が出てきますが、その艦橋部分をよく見ると本艦の艦番号「CVN-77」の数字の部分、「77」がしっかりと確認できます。
つまり、本艦とその乗員たちは本作の制作協力者であり、艦内での上映会はその貢献に対する返礼と言えるでしょう。
撮影は2023年前半、アドリア海での訓練航海中に3日間かけて実施され、トム・クルーズと撮影クルーが同艦に乗艦。飛行甲板や艦橋、さらにはC-2「グレイハウンド」輸送機の着艦シーンなどが撮影され、空母乗員も一部エキストラとして参加したといいます。
さらに、撮影にはアメリカ空軍のCV-22「オスプレイ」2機も参加しており、これとは別に原子力潜水艦「ハイマン・G・リッコーヴァー」(劇中ではオハイオ級として登場)も劇中に登場します。これら撮影支援はアメリカ国防総省の正式な承認のもとで行われました。
国防総省が映画制作に協力するのは珍しいことではありませんが、訓練航海中の空母で撮影するのは簡単なことではなく、その決定にはトム・クルーズという大物俳優と「ミッション:インポッシブル」という人気シリーズの実績が影響したのは間違いありません。
本作の予告編には「奴に空母を与えたのか?」という印象的なセリフがあります。