東京都品川区が推進している「羽田空港アクセス線」の新駅誘致。検討はどこまで進んだのでしょうか。
東京都品川区は、工事が本格化しているJR東日本の新線「羽田空港アクセス線」の新駅設置に向けた検討を継続します。
上野東京ラインの車両(画像:写真AC)
羽田空港アクセス線は、東京駅や新橋駅方面から羽田空港に向かう「東山手ルート」が2023年に着工しました。2031年度の開業後は、宇都宮線・高崎線・常磐線方面から羽田空港への直通運転が実現します。現時点では新橋駅~羽田空港新駅間はノンストップとなる見込みで、品川区内は「素通り」となります。
品川区は2029年度までの長期基本計画に、羽田空港アクセス線の早期整備に向けた働きかけや、新駅設置に向けた要望を行うことを明記。今年度予算には、新駅可能性地域まちづくり検討費として700万円を計上し、新駅誘致の可能性について検討を行う方針を示しています。
新駅が想定されている八潮エリアは物流施設が多い一方、商業・業務施設は少なく、新駅ができてもあまり利用者が見込めないという課題があります。区は物流施設が大部分を占める地域を人が集まる地域に転換し、新たなまちづくりを進めたい考えです。
区はこれまで、新駅の候補地選定や課題抽出、概算工事費の算出、他自治体における事例の調査などをコンサル会社に委託して実施。昨年度は新駅の候補地を絞り込む検討を行いました。ただ検討結果は公表しておらず、現時点ではJR東日本に対する要望活動も行っていません。
この背景には、新駅設置に伴う開発によって新たな住民が流入することで、住環境が変わることに抵抗感を持つ区民が多く、新駅の設置を具体的に要望する動きになかなかつながっていない状況があるといいます。
現状では、区が新駅実現の可能性も含めて検討を進めていくというスタンスのため、新駅誘致はスタートラインに立ったばかりです。実現の目途は立っていませんが、今後の動向が注目されます。