舗装大手が展示会で「電化道路」の技術サンプルを展示。走るだけでEV(電気自動車)が充電される道路が、意外と早く実現するかもしれません。
走るだけでEV(電気自動車)が充電される――そんな未来の道路が、意外と早く実現するかもしれません。
高速道路のイメージ。NEXCO東日本は2029年度に走行中給電の実験を行うとしている(画像:NEXCO東日本)
2025年6月11日、12日に東京新宿で開催の「バイシクル・E-モビリティシティエキスポ2025」(主催:ライジング出版)にて、舗装大手の東亜道路工業(東京都港区)が太陽光発電舗装システム「WATTWAY」と、「非接触給電舗装」のサンプルを出展。技術の完成度をアピールしていました。
ブースにあったのは、道路に埋め込む太陽光パネルと、薄型のコイルが埋め込まれているというゴム板です。
このようなEVへの「走行中給電」の技術は各所で開発が進められています。携帯電話の「置くだけ充電」と同じような仕組みで、EV下部に設置した受電コイルと道路との間に磁界などが発生することで、接触しなくてもEVが充電できるという技術は、すでに公道を使った実証実験も行われています。
東亜道路工業の担当者は、車線においてクルマのわだちの内側に太陽光パネル、さらに車線の中心に非接触給電舗装を連続的に施すことにより、道路で発電した再生可能エネルギーのみでも「走りながら充電」が可能になるといいます。
ちなみに、太陽光パネルは中央防波堤にある東京都の駐車場へ導入した際には、60枚で最大発電能力7.5kWPeakというスペックだそうです。また、耐久性については大型車(輪荷重49kN換算)で20万回走行しても健全な状態を維持するといいます。
担当者が「電化道路」と呼称するこのような道路は、NEXCOも高速道路の未来像の一つとして掲げているものです。実際、NEXCOとも導入に向けた協議を行っているといいます。
目下の課題は、この施設が道路付属物として認められるかなど、法律の枠組みの検討という段階にきているそうです。

バイシクル・E-モビリティシティエキスポ2025 東亜道路工業ブースで(乗りものニュース編集部撮影)
NEXCO東日本は、2029年度に高速道路本線での走行中給電を実施することを発表しています。政府は2030年までに、充電インフラを整備してEVの「ガソリン車並みの利便性を実現」するという目標を掲げていますが、東亜道路工業の担当者によると、それまでに実現のメドがつくのでは、という話でした。
その整備コストを聞いたところ、東京-大阪間の高速道路を想定した場合、「もっと(いろいろな価格が)乗るとは思いますが」と断ったうえで、約1700億円とのこと。どこまで正確かは分かりませんが、巨額であることは間違いなさそうです。
EVユーザーだけが利用する街なかのEV充電器とは違い、極めて公共性の高い道路という空間そのものを“電化”するのならば、その整備コストは誰が払うの? という議論が起こりそうです。
たとえ民間のNEXCOといえども、非EVユーザーにとって無用の設備に高速道路料金を財源として巨費を投じるのでは、公平な料金負担の原則に相違するとも考えられます。2050年までのカーボンニュートラルを目指す日本にとって、電化道路の整備は、自動車諸税や法のあり方まで変えるキッカケになるかもしれません。