東京ビッグサイトで行われていたイベントに酸素カプセルが展示されていました。ハナシを聞くとすでにJRなどの鉄道会社や大手運送会社などで採用されているのだとか。

いったい、どれぐらい効果があるのでしょうか。

3倍の回復力!? 労働者の癒やしに活用

 2025年5月末、東京ビックサイトで開催された「2025NEW環境展/2025地球温暖化防止展」において、酸素カプセルの国内メーカーである株式会社タイムワールド社が「O2ボックス」という酸素カプセルを出展していました。

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JR西日本のDEC741形気動車。写真はイメージ(画像:写真AC)。

 ハナシを聞くと、鉄道会社や運送会社などといった交通インフラの現場で採用されているといいます。

 そもそも、内部に高気圧の酸素を充満させた「酸素カプセル」は、疲労回復を促進すると言われます。もともとは医療機器として開発され、高気圧酸素療法に使われていましたが、2000年代以降はアスリートの使用を通じて一気に注目されるようになりました。中でも野球のイチローやサッカーの香川真司といった著名なスポーツ選手たちが、筋疲労回復のために使っていると報じられたことがきっかけで、一般ユーザーでも利用する人が急造します。

 そして現在は、オフィスやサロンといった施設への導入だけでなく、JRや大手運送会社をはじめとして様々な企業で活用されているのだとか。前出のタイムワールド社は、もともと個人向けの酸素カプセルを販売していましたが、この「O2ボックス」はそれを大きく個室化したものです。会場に展示されたものは最大で6名が入れるタイプでしたが、広さや構成はカスタマイズ可能だといいます。

 内部は調整可能な高気圧酸素が充満されているだけでなく、エアコンや娯楽用のテレビモニターも設置されており、休憩室のような雰囲気がありました。

 メーカーによると、「O2ボックス」で2時間仮眠した場合、約6時間分の疲労回復効果が期待できるとのこと。この「短時間・高効果」の性能に、企業の注目が集まっているそうです。

運転手の休息にも活躍中?

 もともと個人用としては、富裕層やアスリート向けに使われていた酸素カプセルですが、企業向けモデルはより実用的な「休憩室」として進化。鉄道の運転士や長距離トラックのドライバーなど、疲労管理が安全に直結する職種で導入が進んでいると話してくれました。

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「2025NEW環境展/2025地球温暖化防止展」のタイムワールド社の展示ブース。手前にあるのが一人用の酸素カプセル(布留川 司撮影)。

 たとえば、泊まり勤務を含む鉄道会社の交番勤務の合間に仮眠用として使用したり、運送会社ではドライバーの待機時間中に利用させたりなど、さまざまな形で取り入れられているそうです。

 同社によれば、すでに全国4000か所以上で「O2ボックス」が導入されており、「ここ数年で企業の福利厚生施設としての導入が一気に増えている」とのこと。

 少子高齢化による人手不足や働き方改革によって、近年は労働者の労働条件の改善が進んでいます。労働時間の短縮など、労働者に優しい対策が進められていますが、同時に福利厚生で労働環境の見直しも進んでおり、今後は「O2ボックス」のような労働者を直接ケアするような機器の活用も進んでいくかもしれません。

 酸素カプセルは単なる「休憩室」ではなく、「確実に疲労を取る場所」として、今後ますます存在感を増していきそうです。

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