山手線と京浜東北線、東京モノレールが集まる交通結節点である浜松町駅周辺が大きく姿を変えます。かつて存在した東海道貨物支線・大汐線の「カートレイン」乗降場跡地も大きく姿を変えました。
野村不動産とJR東日本は、浜松町駅周辺で進めているツインタワーの大規模複合開発「ブルーフロント芝浦」の1棟目「タワーS」を今年9月1日に開業します。この開発により、かつて存在した東海道貨物支線・大汐線の「カートレイン」乗降場跡地が大きく姿を変えました。
京浜東北線の車両。JR東日本が開発を進める「広域品川圏」をつなぐ(画像:写真AC)
「ブルーフロント芝浦」は、野村不動産グループが保有する「浜松町ビルディング」と、JR東日本が保有する大汐線の「カートレイン」乗降場跡地を一体で開発する事業です。
「カートレイン」とは、かつて運行されていた、寝台列車にマイカーを積んだ貨車を連結した列車です。大汐線はかつて汐留~東京貨物ターミナルを結ぶ貨物線でしたが、1998年に休止扱いとなりました。
ツインタワーの総延床面積は約55万平方メートルにおよび、オフィスやラグジュアリーホテル、住宅、商業施設などが入ります。オフィス内は東京湾を見渡すことができるスカイラウンジや、サウナ室なども備え、新しい働き方を提案するとしています。なお、カートレイン乗降場跡地は、浜松町駅と「タワーS」を結ぶ歩行者専用道や、それと一体化した「緑のプロムナード」に姿を変えています。
南側の1棟目「タワーS」は今年2月に竣工しており、北側の2棟目「タワーN」は2027年度に着工し、2030年度に完成する予定。ツインタワーの完成後は約2万人が就業することになるといいます。
開発エリアは東京最古の埠頭である日の出ふ頭や、芝浦運河と近接しています。
2025年6月12日に開かれた「ブルーフロント芝浦」記者発表会に登壇した野村不動産ホールディングスの新井聡社長は「現在の進捗はちょうど5合目。タワーSは9月のグランドオープンに先駆け、7月にはホテルの開業、8月からオフィスのテナント企業の入居が始まる予定となっており、いずれも順調に進んでいる」と説明しました。

6月12日に開かれた「ブルーフロント芝浦」記者発表会(乗りものニュース編集部撮影)
JR東日本の中川晴美 常務取締役は「浜松町駅から大井町駅までの広域品川圏の開発に総力をあげて取り組んでいる。まさに日本の成長を牽引する存在になると感じている」と述べました。
浜松町駅周辺では、2020年に東京ポートシティ竹芝が開業。翌年には世界貿易センタービルディングの南館が竣工し、大型ビルの竣工が相次いでいます。2027年には世界貿易センタービルディングの本館・ターミナルも開業が予定されています。
東京ポートシティ竹芝、世界貿易センタービルディング、ブルーフロント芝浦が全て完成を迎える2030年には、3事業の合計延床面積が約105.2万平方メートルとなる見込みです。2020年の約20.1万平方メートルから約5倍に拡大することになります。
これに伴い、駅の利用者が大きく増えることが想定されるJR浜松町駅で、改良工事が進んでいます。