国土交通省 中国地方整備局は2025年6月13日に開催した審議会にて、米子道の“境港”延伸についてルート帯案が示されました。
米子道、ホントの終点は「境港」です国土交通省 中国地方整備局は2025年6月13日に開催した審議会にて、「中国横断自動車道 岡山米子線(米子~境港)」に関する1回目の計画段階評価を行いました。
国道431号「皆生大橋」の渋滞。この道路沿いに高速道路を延伸させる案も示された(画像:中国地方整備局)。
中国横断自動車道岡山米子線は、岡山市から鳥取県米子市までを結ぶ高速道路で、中国道を境に「岡山道」(岡山JCT-北房JCT)と「米子道」(落合JCT-米子JCT)に分かれます。山陽と山陰を結ぶ“陰陽連絡道”のひとつであり、鉄道でいえばJR伯備線(倉敷-米子)に相当するものです。
しかし、岡山米子線の法定の終点は、山陰道に接続する米子JCTではなく、その北の「境港市」とされています。今回の計画段階評価は、この“最後の未開通区間”について、事業化に向けた本格的な検討の始まりを意味します。
境港は中国・韓国とのコンテナ航路のほか、隠岐諸島への定期航路、さらに2024年には日本-韓国(東海)-ロシア(ウラジオストク)を結ぶ国際フェリーも復活を果たすなど、山陰有数の港湾として存在感を高めています。
一方で、高速道路のIC(インターチェンジ)までのアクセスに30分以上かかることから、日本海側の重要港湾の中でもアクセス時間が最も長いとされています。また、米子ICから境港へ向かう国道431号では、1日あたりの交通量が約3万9000台にのぼり、特に弓ヶ浜半島の付け根にあたる地域で渋滞が深刻化しています。
今回の審議会では、米子道を境港方面へ延伸するための3つのルート帯案が示されました。
ルート3案どんなの?ルート帯案の一つは、米子道からそのまま国道431号沿いに北上する、弓ヶ浜半島の「東側ルート」。

弓ヶ浜半島の付け根に位置する米子市街。西側ルートはこのあたりを通る想定(画像:PIXTA)。
なお、いずれのルートも、半島の北西に位置する米子空港周辺を避けるように設計されており、最終的には東側ルートに合流する線形となっています。
最も短距離となる東側ルートは、国道431号を活用した全線高架橋案が想定されています。ただし、国道沿いのけやき並木の撤去が必要となるほか、自然環境への影響が懸念されており、事業費は最も高く「約4300億~5300億円」と見込まれています。
一部が山陰道と重複する中央ルートは、高架構造区間が東側ルートより短くなり、事業費は「約3500億~4500億円」とされています。
西側ルートは最も延長が長くなるうえ、米子駅西側の湾をまたぐ設計のため、事業費は「約3700億~4700億円」と見積もられています。
今後はこれらルート帯案に基づき、地域住民を対象としたアンケートなどが実施され、概略ルートや構造の検討が進められる予定です。
ちなみに、この鳥取・島根県境にまたがる地域では、「中海・宍道湖8の字ネットワーク」という道路構想も存在します。これは、米子道の境港延伸だけでなく、松江だんだん道路(松江第五大橋道路、開通済)や、宍道湖北側の既開通・整備中の路線を組み合わせ、中海と宍道湖を囲むように「8」の字を描く道路網を形成するものです。