JR九州は、首都圏から中古車両を導入し、老朽化した車両を置き換えます。第三セクターからJRへ車両が譲渡された珍しいケースとなります。
JR九州は、東京都の「りんかい線」を運営する第三セクターの東京臨海高速鉄道から70-000形を譲受し、老朽化した車両を置き換えます。JR九州は「乗りものニュース」の取材に対し、70-000形を譲受したことを明らかにしました。なぜ首都圏の事業者から中古車両を導入するのでしょうか。
りんかい線の70-000形(画像:写真AC)
70-000形は、りんかい線開業直前の1995年に登場した、JR東日本の209系をベースとした車両。JR埼京線にも乗り入れ、川越~新木場間を走っています。
209系がベースであるものの、車両前面のデザインや内装の色調、座席形状などが異なるほか、客室側のドアにも化粧板が貼られているなど、独自色が目立ちます。
りんかい線では、今年度から2027年度にかけて新型車両である71-000形が80両(10両×8編成)導入され、同数の70-000形が置き換えられる予定。70-000形は既に一部の編成が運用を離脱しており、JR九州の小倉総合車両センター(福岡県北九州市)に搬入された先頭車が目撃されていました。
JR九州は、首都圏の事業者から中古車両を導入する理由について「70-000形淘汰の時期と、弊社の車両置換計画のタイミングが一致したため」と話します。
東京臨海高速鉄道は、2023年に新型車両71-000形の導入を発表した際、「乗りものニュース」の取材に対し、70-000形は「他事業者への譲渡も含めたリユースの方法を検討する」方針を示していました。ついに70-000形の新天地が決まった形です。
70-000形は「JR2社」へ譲渡された珍しい車両になお、70-000形は直流通勤形電車であるため、JR九州で走行できるのは、唯一の直流電化路線である筑肥線となります。
JR九州には、国鉄型電車だけでなく、国鉄型気動車も残っています。同社は今後、「次世代車両の新製」として、2024年度から2030年度にかけて計125億円の設備投資を計画していますが、この「次世代車両」はYC1系気動車となる見込みです。非電化区間の国鉄型気動車は新造車両、直流電化区間の国鉄型電車は中古車両によって置き換えが進んでいく見通しです。
70-000形はJR東日本に譲渡された車両があり、八高・川越線で「209系3100番台」となりましたが、既に全車が引退しています。今回、JR九州への譲渡も実現したことで、70-000形は第三セクターからJR2社へ譲渡された極めて珍しい車両となります。
ちなみに、第三セクターからJRへ車両が譲渡されるケース自体が珍しく、あまり例がないものとなっています。今回の70-000形のケースを除くと、北越急行からJR西日本へ移籍した681系・683系特急形電車、高千穂鉄道からJR九州へ移籍したTR-400形気動車(JR九州ではキハ125形400番台)など数例しかありません。