工事現場などでバタバタと激しく板が動く機械を目にすることがあります。あの機械はどういう役割を果たしているのでしょうか。

なお、この機械の動力源も、進化が見られる模様です。

打撃板という部品がバタバタと動く機械

 2025年6月に行われた「第7回 国際 建設・測量展(CSPI-EXPO2025)」の会場で、三笠産業が電動駆動式の「ランマー」を公開しました。ランマーは、道路や配管の工事現場などで見かける、「打撃板」と呼ばれる先端の板がバタバタと激しく上下に動いている、手持ち式のあの建機で、またの名を「タンピングランマー」とも呼ばれます。

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工事現でのランマーのイメージ(画像:写真AC)

 土木の世界に馴染みのない人だと、「この機械は見たことはあるけれど名前は分からない」という人も多いのではないでしょうか。実は三笠産業は、そのランマーで国内シェア6割を誇る、かなり有名な建機メーカーです。そういうわけで、せっかくなので詳しく話を聞いてみました。

 まず、ランマーとは、現場などで地面を機械の自重と衝撃板の上下運動による圧力で締め固める際に使う建機の名称です。

 三笠産業のブースで製品の説明をしていたスタッフに、一般的にどのような場面で使うことが多いのか聞いてみると、「たぶん、(古くなった)ガス管や水道管を交換するため、道路のアスファルトをはがして地面を掘り起こした後の現場で、よく目撃するのでは」との回答が。

 配管工事では、アスファルトをはがして穴を掘り、修理したあとは土を埋め戻して新しいアスファルトを敷くわけですが、その際、地盤を再度ランマーで固めます。というのも、突き固めないと地盤が安定しないからです。具体的には、新しいアスファルトを敷き詰めた後に地盤沈下などが発生し、舗装後のひび割れなどを誘発します。そうしたトラブルを避けるため、ランマーで入念に突き固める必要があります。

 広範囲にわたる工事の場合は、「プレート」と呼ばれる手押し式の機械やロードローラーが、締固めにおいては真価を発揮しますが、修繕のためにアスファルトを剥がした後の舗装や、大型の建設機械が入り込めない狭い範囲の地面を固める作業では、ランマーとそれを操る人の存在が不可欠です。

ランマーを電動式にするメリットは?

 これまでランマーは、主にガソリンエンジンもしくはディーゼルエンジンを使用していたのが一般的でした。対し、今回三笠産業が出展していた製品は電動式です。あえて電動式にする利点について聞いたところ、主に住宅地や繁華街での運用が想定されているようです。

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CSPI-EXPO2025の会場の様子(斎藤雅道撮影)

 突き固める作業自体は、ウレタン製の打撃板などを搭載することで騒音を抑えることが可能です。しかし、エンジン音はどうしても響いてしまいます。

 そうした音でクレームが出やすい場所で真価を発揮するのが、この電動ランマーになります。ブースのスタッフは「都心などでは、現場でもなるべく騒音を出さないように、運転中静かな電動式が選ばれるケースも多いです。たとえば東京都では、住居専用地域でかなり厳しい騒音規制が設けられています。そうした場所で施工を担当する場合は、よくこうした電動ランマーが使われます」と話します。

 また、電動の場合は待機中にエンジンを動かしておく必要がないため、燃費面でも有利だといいます。さらに、冬場にエンジン機で必要な暖機運転も不要で、現場到着後すぐに動かして作業に移ることができます。

また、排ガスが出ないという点も、作業者にとっては大きなメリットです。

 ただ一方でデメリットは、稼働時間がやや短いということです。展示されていたホンダ製バッテリーを使う「MT-e55」という機種のランマーは、連続運転可能時間が30分で、現場作業としてはやや短く感じられます。しかし、バッテリー自体は約4kgと軽く、複数持ち歩くことで、エンジン型と同様に長時間の使用にも対応可能です。

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