関西~愛媛と愛媛~大分を結ぶ「オレンジフェリー」。このうち愛媛~大分間の「九四航路」は約2時間半の船旅ですが、多くの驚きがありました。

特に「特等室」は必見です。

船旅を豊かにする充実の食事メニュー

 九州と四国を結ぶ「九四航路」のうち、九州の臼杵港(大分県臼杵市)と四国の八幡浜港(愛媛県八幡浜市)のあいだでは「宇和島運輸フェリー」と、今回の主役となる「オレンジフェリー九四航路」の2つがあります。宇和島運輸フェリー、オレンジフェリー九四航路とも1日7往復で、合計14往復。かなりの輸送需要があるといえます。

2時間半の航路でここまで豪華とは…! 九州~四国のフェリー、...の画像はこちら >>

オレンジフェリー九四航路の「おれんじ九州」(安藤昌季撮影)。

 オレンジフェリー九四航路は、「おれんじ九州」「おれんじ四国」と呼ばれる同型船の2隻で運航されています。今回は「おれんじ九州」に乗船しました。

「おれんじ九州」は2007(平成19)年に就航。総トン数2924トン、全長119.9m、航海速力19.85ノット(36.8km/h)の性能で、トラック37台、乗用車37台の搭載能力を有します。船体は4層構造で、旅客設備は第2・第3甲板にまとめられています。船内に入るとエスカレーターがあり、バリアフリーで乗船可能です。

 エントランスには船内売店があり「フェリーちゃんぽん」「九四牛すき丼」「しらす丼」「肉うどん」「特製カレー」などのホットメニューが提供されます。

一角にはささやかですが、テーブルと椅子もあります。

「船旅を豊かにするために、供食設備は必要だと考えています」(オレンジフェリー)とのこと。「フェリーちゃんぽん」と「しらす丼」を頼んだところ、スープもついてくるなどボリュームがあり、大満足でした。

定員6名の個室は、グループ旅行に最適

 今回はドライバー区画の取材からスタート。2段ベッドが並ぶ、2等寝台室やドライバーシャワー室があり、なかなか快適そうです。

 一般席に移り、まずは第3甲板を見ていきます。ここは、カーペット敷きの2等座席が広がるエリアです。次に第2甲板に上がります。船内後方は「喫煙コーナー」「マッサージ椅子」「ゲームコーナー」のほか、リクライニングシートの並ぶ「2等椅子席」があります。さらに後方は「スカイラウンジ」です。最新の船舶と比較すると、エレベーターがないなどの違いはありますが、贅沢な造りといえます。

 進行方向に戻ると、ここにもカーペット敷の2等座席があります。

このフロアでは女性・子どもの専用席も設定されています。また共用シャワールーム(紳士用、婦人用)もあります。

 扉で仕切られた最前部は、1等室&特等室エリア。1等室は洋室3室、和室2室の構成で、それぞれ定員は6名です。洋室の1室は「ペット対応室」となっています。洋室は長距離フェリーの最上級船室から、居住スペースだけを抜き出したような空間で、ソファが並び、贅沢感があります。空気清浄機も置かれていました。和室は琉球畳、あるいはカーペット敷です。折りたたみ式のマットレスも置かれていました。洋室も和室も広々しており、グループ旅行には最適と感じます。

国内最高クラスの品質を誇るベッドが魅力

 筆者(安藤昌季:乗りものライター)は、1室しかない定員2名の「特等室」を予約しました。シャワー・トイレ室とソファのある居住スペース、ツインベッドを配した個室です。

アメニティとしてタオルと歯ブラシセットも付属します。シャワー室には窓があり、海を望むことができます。シャンプーやボディソープが備え付けで、お湯もすぐに出るので快適でした。

2時間半の航路でここまで豪華とは…! 九州~四国のフェリー、“住める”レベルな設備の数々
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「おれんじ九州」の特等室(安藤昌季撮影)。

 特筆すべきはベッドの品質。全国の長距離フェリーの最上級個室と比較しても遜色なく、むしろ上回っているといっても過言ではありません。あまりに寝心地が良くて、一瞬で深い眠りへと誘われます。

 同じ地点を結ぶ宇和島運輸フェリー「れいめい丸」の特等室も高品質のベッドを備えています。約2時間半の航路で、日本最高クラスのベッドを装備した船が競っているのは、個人的には「推し」ポイントです。

 特等室については、設備、インテリアを含めても長距離フェリーの上級個室と同等か、それ以上のクオリティを感じました。特に深夜2時50分に八幡浜を出港し、早朝5時15分に臼杵に到着する102便は、朝7時まで船内で休憩できるので快適さを満喫できるでしょう。

 騒音、振動も少なめで、2時間20分の船旅はあっという間でした。

臼杵港はJR臼杵駅から徒歩圏内、八幡浜港もバスでJR八幡浜駅から約5分(徒歩でも約25分)と、車でなくても利用しやすいフェリーです。

 四国と九州を行き来する際には、選択肢になると感じた航路でした。

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