2020年代に入り、補助作業員を必要とせず、オペレーターひとりで交換できる“ワンタッチ式アタッチメント”が急速に普及し始めています。どのような操作感なのでしょうか。

わずかな操作で簡単に交換できてしまう

 現場作業で使うショベルカー(バックホウ)は、掘削方法や作業内容に応じて、バケット以外のアタッチメントに交換することがあります。実は2020年代に入り、補助作業員を必要とせず、オペレーターひとりで交換できる“ワンタッチ式アタッチメント”が急速に普及し始めています。どのような操作感なのでしょうか。

「か、簡単だ……」 ワンタッチで交換できる建機の「アタッチメ...の画像はこちら >>

デモンストレーションでアタッチメント交換を行った建機(斎藤雅道撮影)

 2025年6月18日~21日に幕張メッセで開催された「国際建設・測量生産性向上展2025(CSPI-EXPO)」で、実際に体験してきました。

 体験したのは、国内建機アタッチメントメーカーとして知られる「TAGUCHI(タグチ工業)」の屋外ブースでした。ワンタッチ式のバケットをショベルカーに装着し、操作し、取り外すまでの一連の作業を体験しました。――すると「これは楽だ……」の一言に尽きました。

 TAGUCHIのアタッチメントは「ワンキャッチ」と呼ばれる装置で、ショベルカーのアーム先端に追加装備されており、アタッチメントのピンに引っかけ、指定位置まで持っていくと油圧と連動して自動的に装着されます。

 ピンへの引っかけは目視で行い、その後、運転席に追加されたツマミを操作して油圧との連動を開始。取り外す際は、ツマミを逆方向に操作し、バケットを地面に設置した状態でピンから外します。

 このときも落下事故を防ぐため、特定の角度や位置でなければアタッチメントが外れないよう設計されています。

 筆者はショベルカーの操作については、取材などでしか行わず、ほぼペーパーオペレーターといえますが、メーカーのスタッフから操作方法を聞いたあと、殆ど時間をかけず、すぐに装着を完了することができました。

操作がとてもシンプルであることを実感しました。

 こうしたワンタッチ式アタッチメントが増えてきた背景には、人手不足の影響が大きいとのことです。

 今回体験したのは3トン未満の小型建機ですが、実際の現場では20トン以上の大型ショベルカーも使われており、これまでのアタッチメント交換には最低2人以上の補助作業員が必要でした。それがワンタッチ式になれば、オペレーターひとりで交換可能となり、現場の人員負担が大きく軽減されます。

 さらに、夏場の熱中症対策としても、ワンタッチ式は有効です。従来の交換方法では、高温になった金属パーツを屋外で工具を使って取り扱う必要があり、作業員のリスクが高かったのです。

 現在では冷房付きのキャビンを備えたショベルカーもあり、キャビン内での操作だけで完結するワンタッチ式の導入が進んでいます。

グリッパーがニョキっと生えるタイプも?

 また、このようなワンタッチアタッチメントは、2020年代に入り欧州で導入・検証が進められた背景があり、特にスウェーデンでは多彩な機種が登場しています。

「か、簡単だ……」 ワンタッチで交換できる建機の「アタッチメント」がスゴすぎた件 気分は特撮!?
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スチールリストのグリッパーで作業するボルボ製建機(斎藤雅道撮影)

 スウェーデンのメーカー「Steelwrist(スチールリスト)」もCSPI-EXPOに出展しており、「チルトローテーター」と呼ばれるアタッチメントを展示していました。これは、ショベルカーのアーム先端に取り付け、360度回転+左右チルトの動きが可能になる装備です。

 さらにこのチルトローテーターには、アタッチメント接続部に「インテグレーテッドグリッパー」という、モノを掴む装置が組み込まれており、たとえば掘削中に邪魔な木材を取り除いたり、掘った穴にパイプを設置したりする作業も、他の作業員を呼ばずにそのまま対応できるのです。

 担当者に話を聞いたところ、「こうしたギミックもすべて人手不足対策として開発されたものです。

スウェーデンでは、大型・小型を問わず、8割以上の建機がこのようなアタッチメントを装備していると思います」と話してくれました。

 ちなみに、アタッチメントを装備したショベルカーは、どこか特撮作品の“武装交換”のようにも見え、筆者としてはちょっとテンションが上がりました。

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