「航空ショー」では通常では見られない急角度・急旋回など”旅客機の本気飛び”が見られるケースがあります。うした舞台では、実は小さくてエンジン推力の弱いモデルが、大型で強いモデルよりも迫力のある飛び方をすることもあります。
旅客機は通常、旋回や上昇・降下の際、前後左右の機体の傾きを一定の範囲内にとどめながら飛びます。しかしスペック上はそれ以上の急な傾きで飛ぶことが可能です。そのような旅客機が、急角度での旋回や上昇降下といった”本気飛び”が見せる舞台が、「航空ショー」であり、2025年6月に実施された「パリ航空ショー」でもそのような姿を多数の機体が見せました。
パリ航空ショーで展示飛行を行った「エアバスA350-1000」(乗りものニュース編集部撮影)。
こうした舞台では大小さまざまなモデルの航空機が飛びますが、実は小さくてエンジン推力の弱いモデルの方が、大型で強いモデルよりも迫力のある飛び方をすることも多々あります。その中で今回、最も目立ったのがターボプロップ旅客機の「ATR72-600」です。同機は、大型ジェット旅客機の「エアバスA350-1000」よりもアクロバティックに見える姿勢で飛んだのです。
ちなみにATR72-600はJAL(日本航空)グループのJAC(日本エアコミューター)などが導入している70人乗り旅客機で全長27.2m、巡航速度は510km/h、A350-1000はJALの長距離国際線主力機で、エアバスの公式サイト上の標準座席数は375~400、74m近い全長と903km/hの巡航速度を持ちます。
こうした航空ショーでの展示飛行は低空、かつ低速で行われることが多く、ジェット旅客機はそのスピードをフルに出すことはほぼないことが一般的です。その結果、機体サイズが小さいほうがより高速に見えるという側面もあります。
ただ、機体の横方向の傾きなどもATR72-600の大きく見え、2機の展示飛行を見比べた人からも、「ATR72のほうがアクロバティックだった」という声が複数聞かれています。
なお、今回の航空ショーでの展示飛行の実施はありませんでしたが、A350-1000の製造元であるエアバスのライバル企業、アメリカ・ボーイングのジェット旅客機もこうしたフライトを行うケースがあります。