祖業の地は今、三菱重工系です。
親会社の常石造船が決断常石造船(広島県福山市)は2025年6月26日、グループ会社の株式会社三保造船所、神田ドック株式会社、三井E&S造船株式会社、由良ドック株式会社、株式会社三井造船昭島研究所の5社について社名を変更するとともに、造船セグメント全社の企業ロゴを常石グループのグループロゴへ統一すると発表しました。
三井E&S造船玉野事業所で最後に進水した護衛艦「くまの」。進水後の艤装中に艦艇・官公庁船事業は会社分割で三菱重工マリタイムシステムズになったため、竣工は同社名で行われている(画像:海上自衛隊)。
実施日は6月30日。旧社名と新社名は以下の通りです。
・株式会社三保造船所→常石三保造船株式会社
・神田ドック株式会社→常石呉ドック株式会社
・三井E&S造船株式会社→常石ソリューションズ東京ベイ株式会社
・由良ドック株式会社→常石由良ドック株式会社
・株式会社三井造船昭島研究所→常石造船昭島研究所株式会社
これに伴い、80年以上の歴史を持つ「三井造船」の名称は消滅することになります。
なお、今回の社名変更は、造船セグメントにおける資本構成の見直しに伴うものであり、急速に変化する海事産業の事業環境に対応し、今後も持続的な成長を実現するための取り組みの一環と説明しています。
三井造船は1917(大正6)年11月、三井物産の造船部として岡山県児島郡日比町玉(現在の玉野市)で創業すると、玉造船所として独立したのち、1942(昭和17)年1月に三井造船へと商号変更しています。
その後、1978(昭和53)年6月に昭島研究所(のちの三井造船昭島研究所)を開設。2018年に純粋持株会社化し、三井E&Sホールディングスが誕生するとともに三井E&S造船が生まれています。
しかし、厳しさを増す造船事業に見切りをつけた三井E&Sホールディングスは、2021年に三井E&S造船の艦艇事業を会社分割し、新会社株式を三菱重工業に譲渡するとともに。商船事業を主な事業とする同社株式の49%を常石造船へ譲渡。翌2022年には、常石造船へ三井E&S造船の発行済株式の17%を追加で譲渡していました。
6月30日以降、三井E&S造船株式会社は、常石ソリューションズ東京ベイ株式会社になります。また前述したとおり、株式会社三井造船昭島研究所も常石造船昭島研究所株式会社へと変わるため、同様に三井造船の名は消えます。
【護衛艦に三井の旗が!】これが三井E&S造船の官公庁船 最後の進水シーンです(動画)