ANAホールディングスの芝田浩二社長が取材に応じ、同グループの今後の事業戦略について興味深い案を示唆しています。それは「国内初導入の新型機」についてです。
ANA(全日空)グループが2025年6月、ボーイング・エアバス・エンブラエルの3社と機体の購入契約を結びました。この舞台となったパリ航空ショーで、ANAホールディングスの芝田浩二社長が取材に応じ、同グループの今後の事業戦略について興味深い案を示唆しました。どういったものなのでしょうか。
ANAの 「E190-E2」(画像:ANA)。
とくに今回の購入契約の目玉となるのが、ANAグループが日本で初めて導入するモデル「エンブラエルE190-E2」。また同時に、ANAが初めて採用するエンブラエル製旅客機でもあります。同社はE190-E2を2028年より、プロペラ機のDHC8-Q400、150席超のボーイング737の中間を埋めるキャパシティとなる100席級の国内線機材として運用していく予定です。
しかしこの取材時の芝田社長は記者から「羽田、成田、関西空港以外の地方空港から国際線を飛ばす考えはあるのか?」と聞かれたところ、「いい質問です」と前置きのうえ、英語で次のような趣旨の回答をしています。
「現状では(地方からの国際線を飛ばせるような)十分な機材数がありません。ただ、もし実現をするとなれば、国内線・短距離国際線両方を、同じ機材で飛ばせるようにするというものがあるでしょう。同じ機材が昼は国内線を担当し、夜は(地方から)韓国、中国、香港へ飛ぶ、ということです。
E190-E2は100席クラスのいわゆる「リージョナルジェット」にあたりますが、乗客満載時の航続距離は約5300km弱。日本からだと中国や東南アジアまでカバーできてしまうという強みがあります。現状ではあくまで「ANAでは国内線機材」となる見込みが非常に濃厚ですが、訪日客の増加を目指すこの国の現状も追い風になり、同機がもしかすると「内際兼用機材」となる可能性も捨てきれないのかもしれません。
また国内の航空会社において、国際線仕様機は国内線仕様機よりも座席設備が充実していることが一般的です。もし客室仕様が内際兼用も想定して設計されると仮定すれば、E190-E2では、「リージョナル機の座席はとてもシンプル」という概念を大きく超える客室仕様が生まれる可能性も拭えなさそうです。