巨大なロケットブースターはノースロップ・グラマン製。
SLS用の個体ロケットブースターアメリカの航空宇宙企業ノースロップ・グラマンは、2025年6月26日、強化された5セグメント型固体ロケットモーター「BOLE(Booster Obsolescence and Life Extension:ブースターの近代化・寿命延長プロジェクト)」の初のフルスケール燃焼試験を実施したと発表しました。
BOLEが使われる予定のロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」(画像:NASA)
このブースターは、将来的に有人月面探査ミッションや貨物輸送を担う「スペース・ローンチ・システム(SLS)」に搭載される予定で、開発が進められています。SLSは、スペースシャトルの後継として、月面着陸など、200万km以上の深宇宙ミッションを目的に設計された大型ロケットです。
BOLEは、ロケットモーター(燃焼室部分)が5つのセグメント(節)に分割された構造で、固体推進剤を使用するロケットブースターです。
全長は約47.5メートル。燃焼試験では2分以上の間に1基で400万ポンド(約1800トン)を超える推力を発生させました。これは従来のSLS用5セグメントブースターと比べて推力性能が10%以上向上しており、月軌道への輸送能力が5トン増加しています。
今回のBOLEは、スペースシャトル時代に使用されていたブースターと比較して推力が約33%増加しており、ノースロップ・グラマンはこれを「人類宇宙飛行用として建造された中で、世界最大かつ最も強力なセグメント型固体ロケットブースター」と位置付けています。
なお、SLSを使用したNASAの月探査計画「アルテミス」では、2026年4月以降に有人月周回ミッション「アルテミスII」が実施予定。その後、初の女性宇宙飛行士による月面着陸ミッション「アルテミスIII」が控えています。