トルコの総合航空宇宙企業バイカルは、ピアッジョ・エアロ・インダストリーズおよびピアッジョ・アビエーションの事業資産の正式譲渡を受け、買収手続きが完了したと発表しました。

P.180「アヴァンティ」の再始動と無人機生産を強化へ

 トルコの総合航空宇宙企業バイカルは2025年6月30日、イタリアのピアッジョ・エアロ・インダストリーズおよびピアッジョ・アビエーションの事業資産の正式譲渡を受け、買収手続きが完了したと発表しました。

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パリ航空ショーで公開されたP.180「アヴァンティ」(乗りものニュース編集部撮影)

 この買収は、2024年12月27日にイタリア製産業省によって承認され、2025年1月27日には予備契約が締結されていました。今回、これらの取り決めが正式に確定し、譲渡が完了した形となります。

 ピアッジョ・エアロスペースは、プロペラを機体後部に配置するプッシャー式設計の航空機を多く開発してきたことで知られ、無人航空機(UAV)にもその設計思想を踏襲するなど、独自性を持つメーカーです。もともとは、ベスパやモト・グッツィを手がけるピアッジオ社の航空部門として設立されましたが、1964年に分社化。その後、1990年代に経営破綻し、複数企業の傘下で再建が模索されてきましたが、不況のあおりなどを受けて低迷が続いていました。

 2025年6月に開催された「パリ航空ショー」では、ピアッジョ・エアロ製のP.180「アヴァンティ(Avanti)」が再び脚光を浴びました。

 バイカルはこのP.180アヴァンティの再ローンチを買収後の重点施策と位置づけており、「イタリア国防省と共同開発した技術的アップグレードにより、同機は今後、世界市場での競争力を高める中核機種となる」としています。

 また、バイカルが強みとする無人機の製造にも注力する方針で、「バイラクタル・アクンジュ」や「バイラクタルTB-3」などのUAVの生産が、ピアッジョ・エアロスペースの施設で行われる予定です。ヴィッラノーヴァ・ダルベンガおよびジェノヴァの両拠点では、現行の雇用を維持しつつ、生産規模の拡大に伴い人員増も計画されています。

 バイカル会長兼CTO(最高技術責任者)であるセルチュク・バイラクタル氏は今回の買収完了を受け「ピアッジョ・エアロスペースという、イタリアの革新と卓越性の象徴を引き継ぐことは大変名誉なことです。当社は、P.180アヴァンティEVOの生産拡大や、航空機およびエンジン整備の欧州中核拠点としての機能強化を通じて、同社を再生させていきます」と決意を表明。「長期的成長、質の高い雇用創出、そしてトルコとイタリアの産業協力の深化を目指します」と今後目標を明かしました。

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