世界で初めて飛んだ超音速旅客機であったものの、「コンコルド」に似すぎた設計から、「コンコルドスキー」と揶揄されたツポレフ設計局のTu-144。今回はその機内へ入ることができました。
これまで実用化された超音速旅客機は2種類のみです。広く知られているのはイギリス・フランスが共同開発した「コンコルド」ですが、実は旧ソ連にもう1機種存在します。それが「コンコルド」に似すぎた設計から、「コンコルドスキー」と揶揄されたツポレフ設計局のTu-144です。今回、同機の機内へ入ることができました。
ジンスハイム自動車・技術博物館に展示されている「Tu-144(乗りものニュース編集部撮影)。
Tu-144の初飛行は「コンコルド」初飛行の3か月前となる1968年12月31日。つまり世界で初めて飛んだ超音速旅客機となります。超音速を突破したのも「コンコルド」より先でした。Tu-144は尖った鼻先や三角翼が設置された形状で、機首の左右に「カナード」と呼ばれる折り畳み式の先翼が装備されていることを除いては「コンコルド」とよく似ています。
ところが、Tu-144は実用化こそしたものの、航空ショーで墜落し原因究明に手間取ったことから、運航開始は「コンコルド」の後となってしまいます。しかしTu-144は実用化もまた墜落事故が発生。原因の究明や改善が行われますが、燃費も悪く人数も多く乗せられないことから、経済的に採算が合わないとして旅客機の役目を終えました。
Tu-144は2025年現在、ドイツのジンスハイム自動車・技術博物館に展示されています。この展示機に設置されている客室は横2-2列が基本的な構成で、オレンジ色の鮮やかな座席が特長です。なお、別の機体や運用されていた時代の写真では横3列や横5列の配置もあるので、ジンスハイム展示機の横4列構成が標準的であるともいえないようです。
機内の非常口案内板や化粧室などには、英語とともにロシア語の表記もあり、客室も一見「コンコルド」と似てはいるものの、旧ソ連で作られた旅客機であることがわかります。コクピットは旧ソ連機でよく見られた緑バックのパネルに計器類が埋め込まれたスタイルだからです。操縦桿(コントロールホイール)の中央部分に、たくさんのボタンが設置されているの特徴です。