取り回しがよく価格も安いのが利点の軽自動車。しかし、なかには「なんでこんな豪華装備を軽に!?」と言いたくなるような、驚きのモデルがありました。
安価なベーシックカーというポジションだった軽自動車ですが、今では多様なモデルが揃い、メインカーとしての需要も立派に満たすクルマも増えました。しかし、これは「軽=ベーシックカーのみ」という固定概念を破ろうと、各メーカーが試行錯誤を繰り返した結果でもあります。
驚きの豪華装備が満載だった、ダイハツ「ソニカ」(画像:ダイハツ)
なかには「なんでこんな豪華装備を!?」と言いたくなるような、驚きのアイテムを採用したモデルもありました。
特に有名なのがダイハツの「ソニカ」でしょう。2006年に発売されたソニカは、当時の軽自動車としては異色の“長距離ドライブが快適なクルマ”を目指して開発されました。
特に注目すべきポイントなのがフロントシート。当時の軽自動車トップである1320mmというワイドな室内幅を最大限生かした、大型でゆったりと座れるシートを採用しています。
実は、このシートは当時トヨタのフラッグシップセダンだった「セルシオ」のシートを参考に設計されたものでした。「軽自動車でセルシオ並みのくつろぎを!」という明快な狙いで開発されたソニカ。寸法的に実現しなかったものの、当初は本当にセルシオのシートそのものを採用しようとしていたというから驚きです。
またソニカにはもうひとつ、軽とは思えない驚きの装備がありました。それが「レーダークルーズコントロール」です。
ユニークな豪華装備を持った軽自動車はほかにもあります。1989年デビューの6代目「ミニカ」に装備されたのは、なんと運転席の「パワーシート」機能。いまでも軽自動車はレバー式の前後スライドが一般的です。
ミニカのパワーシートは最上級グレードに採用されたもので、エンジン停止後にキーを抜くとシートが最後部まで下がり、キーを差し込むと設定位置まで自動で復帰する、メモリー機能まで有していました。
自動運転などの運転支援システムが発達した昨今ですが、時代を大きく先取りしていたのがホンダの4代目「ライフ」です。2003年に登場した4代目ライフは、2006年に実施したマイナーチェンジで、新たに「Hondaスマートパーキングアシストシステム」をメーカーオプションに設定。これは縦列駐車を含めたバック駐車をアシストするという、当時としてはかなり先進的なアイテムでした。
とはいえ、システム自体は簡易的なもの。操作方法は、まず助手席ドアに刻まれた目盛りを目印に、駐車したい場所のそばにクルマを寄せて停止します。駐車パターンをボタンで選択すると、クリープによる前進とハンドル操作をクルマが自動で行い、理想的なバックの開始位置まで移動。
「バック駐車なんか自分でできるよ!」というユーザーには逆に煩雑だったかもしれませんが、運転支援システムの黎明期における、ユニークな発明でした。
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寸法やエンジン排気量の厳しい制約のなかで開発される軽自動車は、まさにアイデア勝負の世界です。次はどんなユニークな装備を持った軽が登場するのか、まだまだ期待したいところです。