毎年7月26日は、「な(7)つふ(2)ろ(6)」の語呂合わせから、夏の暑さでシャワーだけで済ませがちな入浴を、湯船に浸かる習慣をうながすため「夏風呂の日」とされています。

護衛艦には風呂がちゃんと用意されている!

 毎年7月26日は、「な(7)つふ(2)ろ(6)」の語呂合わせにちなんで、夏の暑さでシャワーだけで済ませがちな入浴を見直し、湯船に浸かる習慣を促す「夏風呂の日」とされています。

護衛艦はスーパー銭湯並み?「隊員用風呂」は災害時も活躍 そも...の画像はこちら >>

実質的な空母化の改修を終えた「かが」にもちろん風呂はある(画像:海上自衛隊)

 日本人にとって入浴は、身体を清潔に保つという衛生面だけでなく、心身をリラックスさせるという文化的な意味合いも持っています。これは、船上で任務にあたる海上自衛官にとっても同様で、艦内には入浴設備が整えられています。

 海上自衛隊の護衛艦には「隊員用浴室」と呼ばれる浴場があり、浴槽とシャワーが設置されています。基本的に港に停泊中は真水を使用しており、一般の浴槽とほとんど変わりませんが、航海中は海水を利用します。

 海水というとベタつく印象があるかもしれませんが、護衛艦「やまぎり」の乗員が海上自衛隊公式YouTubeチャンネルで説明しているように、出航後の沖合で汲み上げたきれいな海水を使用するため、お湯に浸かると肌がツヤツヤになる効果があるそうです。なお、艦内には「造水装置」と呼ばれる、海水を加熱して真水を生成する装置も備えられており、浴槽では海水を使うものの、シャワーは基本的に真水を使用します。

 新型の護衛艦では、この造水装置の性能が向上しており、飲料水や洗濯、シャワーに使用しても水に余裕があることから、トイレにウォシュレットが設置されている艦も多いといいます。

 一方、潜水艦は潜航を前提としているため、艦内のスペースが限られ、入浴設備はシャワーのみとなっています。それでも設備は大きく改善されており、第二次世界大戦中の潜水艦ではシャワーそのものが設けられておらず、艦内の臭いは非常に強かったと伝えられています。

 ちなみに、民間船のタンカーなどでは航海中であっても風呂は海水ではなく真水であるケースがあるようです。その場合、飲料水とは別に生活用水として海水をくみ、造水機を使用して真水を取り出します。

災害時にも隊員用風呂は大活躍!

 こうした自衛艦の入浴設備は、災害時にも活用されています。

たとえば、2018年7月の西日本豪雨で広島県呉市に大規模な断水が発生した際には、ヘリコプター搭載護衛艦「かが」や護衛艦「いなづま」などの艦内浴場が市民に無料開放されました。なかでも「かが」の浴場には、スーパー銭湯や温泉を思わせる立派なのれんが掲げられ、大盛況だったといいます。

護衛艦はスーパー銭湯並み?「隊員用風呂」は災害時も活躍 そもそも航海中の入浴どうしてる?
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災害に備え入浴セットの展開訓練をする隊員たち(画像:海上自衛隊)

 海上自衛隊は、こうした艦内浴場の開放に加え、「緊急展開型入浴セット」と呼ばれる装備も備えています。これは、被災地からの要請を受けて迅速に入浴支援を行える装置で、2011年3月の東日本大震災をはじめ、2016年4月の熊本地震や2019年10月の令和元年東日本台風の被災地にも派遣されました。海上自衛隊では、このセットを円滑に展開できるよう、年1回の定期訓練も実施しています。

 なお、護衛艦の艦長室には、基本的に専用の風呂とトイレが設置されています。艦の規模によっては副艦長にも個室が用意されますが、そこには風呂やトイレは設置されていないのが一般的です。

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