三菱自動車は2025年7月22日、中国の合弁会社で行っていたエンジン事業の終了を発表しました。2023年に中国での完成車の生産から撤退していた同社ですが、今回の決定によってどのような影響があるのでしょうか。
2025年7月22日、三菱自動車は中国の合弁会社「瀋陽航天三菱汽車発動機製造(SAME)」で行ってきた、エンジン生産の事業を終了すると発表しました。合弁関係も6月に解消しており、今後は主力としている東南アジア市場での戦略をより強化していく見通しです。
中国市場向けに売られていた三菱「ランサー」のフロント周り
今回合弁を解消した「SAME」は、中国の遼寧省に本拠を置く企業。三菱自動車と現地企業との合弁で、1997年に設立されました。三菱製エンジンの製造は翌年の1998年から開始し、日本でも「ランサーエボリューション」や「パジェロ」などに採用されたのと同形式の「4G63型」エンジンなど、さまざまなユニットを生産し、2017年には累計生産500万基を達成しました。
また、SAMEで作られたエンジンは、三菱車のみならず、中国の多くの自動車メーカーにも供給されました。コスト競争力の高かったSAME製エンジンは、現地メーカーの多数のモデルに採用され、中国の自動車産業の発展にも寄与しました。
しかし、中国市場での販売低迷を受け、三菱自動車は2023年に中国での完成車の生産を終了。そして、近年急激に進んだEV・NEV(新エネルギー車)への市場ニーズの変動により、エンジンへの需要も見込めなくなったことから、エンジン事業の終了も今回決定しました。
これにより、三菱自動車は中国での完成車や部品の生産から完全に撤退することになりますが、三菱車ユーザーへのアフターサービス事業などは当面継続していく方針です。また、SAMEでのエンジン製造も即時中止するわけではなく、今後は段階的に終了していくとしています。
三菱自動車は今後、中国市場での戦略を見直すとともに、主力市場である東南アジアでの戦略をより強化していく計画です。