]幹部自衛官を目指す学生が集う場所、防衛大学校を取材してきました。図書館や資料館、学生舎まで、ひたすら発見とドキドキが目白押しでした。

活字中毒者にとっては「花園」的な建物

 幹部自衛官を目指す学生たちが、知識と体力、そしてリーダーシップを磨くために日夜励んでいる防衛大学校。通称「防大」と呼ばれる学び舎の魅力や、日々の学生生活を取材したレポートの後編です。

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防衛大学校の建物脇に保存・展示されている国産のF-1戦闘機。こういったものが校内にあるのは防大ならでは(乗りものニュース編集部撮影)。

 次に案内されたのは、敷地のほぼ中央に位置する総合情報図書館。ここは2009(平成21)年に図書館と学術情報センターを統合して生まれた組織で、中にはおよそ60万冊もの蔵書があり、軍事防衛分野の書籍は特に充実しています。入口すぐ脇には、元内閣総理大臣の桂太郎や、あの勝海舟の書の展示も。

 博物館クラスの展示エリアに思わずかしこまってしまいますが、ここで学ぶ学生たちも令和にアップデートされているということで、蔵書は軍事に関するお堅いものだけでなく、職員おすすめ図書のコーナーや人気漫画の英語版もあり、楽しみながら勉強できる工夫もされていました。

 もちろん、ガッツリ勉強したい学生にも最高の環境が整っています。活字中毒者の私(たいらさおり:漫画家/デザイナー)も、ついつい長居したくなる「知識の宝箱」が、ココにありました。

 一つ一つの施設の規模の大きさに目を白黒させつつ、次に案内されたのは防衛大学校資料館。ここでは防大の歴史と歩みを知ることができます。

校内ガイダンスもあるので、ロールプレイングゲームでいうところの「はじまりの村」的な立ち位置ですね。

すれ違うたびに浴びせられる「こーんにーちは~!」

 防大の歴史に伴い、制服の変遷も展示されているのですが、1992(平成4)年度から入校した女子学生の制服は当初はスカートだったそう。現在は活動のしやすさなどから、男子学生と同じくズボンがメインとなっていますが、当時の貴重な資料が間近で見られるのも資料館のイイところ。こちらは開校祭で見学できるので、ぜひ足を運んでみてください。

知られざる学び舎「防衛大学校」歩くたびに驚がくと怒涛のドキドキが! 漫画家がイラストで解説してみた
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総合情報図書館の入口に帽子入れがあるのも防大らしい(乗りものニュース編集部撮影)。

 数ある施設のメインを案内された後はいよいよ学生舎へ! 防大では学生を4つの大隊に分け(今後5個大隊に改編予定)、学生隊を組織しているのが大きな特徴です。学生たちは各大隊に割り当てられた学生舎という寮で生活を送るのですが、その生活は上下関係が厳しく緊張の連続という噂が。

 事前にそうした噂を聞いていたので、ドキドキしながら学生舎の玄関に足を踏み入れた瞬間、「こんにちは!!!」という学生の大音量の挨拶で出迎えられたのでした。そう、ここは通常の大学と違って「幹部自衛官のタマゴ」を育成する場。上下関係がなければ組織は成り立ちませんし、いかなる時も意思伝達は正確でなければなりません。腹の底から声を出せてなんぼ、というわけです。その後も廊下ですれ違いざまに響き渡る「こんにちは!!!」の大音量。

部外者ながら背筋が伸びっぱなしでした。

 学生舎の居室は自習室と寝室に分かれているのですが、特別に自習室を見学させていただくと、応対してくれたのは春に入校したばかりの1学年の学生でした。自習の手を止めて起立する学生さんに「もっと楽にしてくださいね」とお願いしましたが、目上の大人に囲まれては難しいですよね。ここは長居せず、速やかに退散したのでした。

6、7月にオープンキャンパス/11月は開校祭も

 こうした規律正しい生活の中にも、大学生らしいお茶目さはそこかしこに見られます。週番の名前が書かれたホワイトボードには、名前の下に「ハンバーガー」「プロテインお願いします」など各々の希望する差し入れが書いてあったり、掲示物ではっちゃけてみたり、置かれた状況に順応して楽しむ余裕が見られたのはさすが「幹部自衛官のタマゴ」といったところでしょうか。

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防衛大学校の学生舎(学生寮)の中の様子(乗りものニュース編集部撮影)。

 もちろん全員が全員、順応できるわけではないですが、さまざまな困難をフォロワーシップで乗り越えた絆は卒業後にとても大きな財産となるのだそう。寝食をともにした仲間の大切さを、職員の皆さんも誇らしげに語ってくれました。

 1学年は夏になると遠泳訓練が始まり、いよいよ体力勝負の学生生活が本格化します。大きな声で挨拶をしてくれた学生さんのまだ幼さが残る表情も、やがて逞しく成長するのでしょう。子供を持つ親としても、さまざまな思いが胸に残る取材となりました。

 毎年11月には開校祭も開催されているので、ぜひ訪れて学生たちの頼もしい姿を目に焼き付けてください。

 最後に、貴重な取材の機会をいただき、ありがとうございました!

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