輸送機が爆撃機に!?
検討が進む輸送機用誘導弾発射システム防衛装備庁は2025年7月、「令和7年度 輸送機用誘導弾発射システムに係る調査検討」という業務の契約希望者募集要領を公示しました。これは、航空自衛隊の輸送機に攻撃能力を付与することを視野に入れた調査検討の一環とみられます。
C-2輸送機(画像:写真AC)
日本政府は、2022年12月にまとめた「防衛力整備計画」に、敵の脅威圏外から攻撃が可能な「スタンド・オフ防衛能力」の整備を盛り込んでおり、スタンド・オフ・ミサイルを保有したり、潜水艦や輸送機といった「発射プラットフォームの更なる多様化」を目的とした研究開発を進めたりすることを明記していました。
今回、防衛装備庁が「輸送機用誘導弾発射システムに係る調査検討」業務を公示したことは、それに関連した動きとみられます。
なお防衛装備庁は、今回の募集に応募できる企業の資格として、CMLS(輸送機用誘導弾発射システム)に搭載する12式地対艦誘導弾能力向上型(空発型)および、CMLSと同等の投下物を投下する試験に関する技術を持つことなどをあげています。
CMLSは、航空自衛隊に配備されている国産のC-2輸送機から高高度で投下され、12式地対艦誘導弾能力向上型(空発型)を発射するためのシステムとなる見込みです。
輸送機を対象にした攻撃能力の付与をめぐっては、アメリカの大手航空機メーカー、ロッキード・マーティン社がアメリカ空軍とともに、輸送機に大容量のミサイルを搭載可能な「ラピッドドラゴン」の開発を進めています。この新兵器は、輸送機の貨物区画に空中投下が可能なプラットフォームを搭載し、そこから巡航ミサイルなどを発射できるようにするもので、機体の大幅改修を必要としない利点があります。
今後、防衛省や自衛隊もこうした動きを参考にしながら、輸送機を攻撃機化する検討を本格化していくと見られます。