ソラシドエアの長崎~羽田線が2025年8月、就航20周年を迎えました。長崎空港(長崎県大村市)での記念セレモニー、および同県波佐見町にあるビュッフェレストランでの記念懇親会の様子を取材しました。
宮崎県を拠点とする航空会社「ソラシドエア」の長崎~羽田線が2025年8月1日、就航20周年を迎えました。当日は長崎空港(長崎県大村市)で記念セレモニーが行われ、今年就任した山岐真作社長をはじめ、空港周辺自治体のゆるキャラも出席しました。
ソラシドエアの機体(乗りものニュース編集部撮影)
長崎~羽田線は、宮崎線、熊本線に次いでソラシドエアが3番目に就航した路線です。2025年現在は1日4往復が運航されており、20年間で延べ約650万人が利用するなど同社の主要幹線となっています。
セレモニーでは、山岐社長と新川新一副社長から長崎~羽田線の利用者へ、長崎銘菓のマファールや、波佐見(はさみ)焼の航空安全お守りが入った記念品が手渡されました。山岐社長は次のように話します。
「長崎~羽田線が1日4往復という運航を長期間続けられたのは、長崎県民の皆さま、そして長年ご利用いただいているお客さまのおかげです」
以前は東京国際空港ターミナルの役員を務めていた山岐社長。「この20年間で人やモノを通じ、東京と長崎の交流深化に貢献できたことが最も印象に残っています」と振り返りました。
一方で「長崎への海外客誘致が思ったほど進んでいない」と課題についても率直に語り、「羽田をはじめ中部などの空港から長崎へ海外客を誘致できるよう、マーケティングをさらに強化していきます」と、インバウンド需要喚起への意欲も示しました。
長崎~羽田線のこれまでの主な利用者層は、家族連れの帰省、旅行グループ、若年層でした。今後はインバウンドに加えビジネスマンの需要も細かく把握し、利用拡大を目指していく方針とのことです。
増便も検討!? 次の20年も地域と共にソラシドエアは旅客機を14機保有しています。

ソラシドエアの山岐真作社長(乗りものニュース編集部撮影)
なお同日は夕方より、長崎県波佐見町にあるビュッフェレストラン「御堂舎」において20周年記念懇親会も開催されました。ここは波佐見焼窯元「高山」創業者の築100年を超える旧宅をリノベーションしており、長崎の季節ごとの手作り料理を楽しめます。波佐見焼の歴史と文化を感じながら食事ができる、地域の新しい魅力スポットとして人気を集めています。
懇親会には波佐見町長の前川芳徳氏をはじめ、長崎県の大石賢吾知事も参加するなど、ソラシドエアの就航20年を祝いました。前川町長はあいさつで、波佐見町役場新庁舎の屋上壁に「833」という数字が書かれていることに触れ、「これは『花(8)が咲(3)き実(3)を結ぶ』とも読めることから、『空から笑顔の種をまく。』というソラシドエアのスローガンにも通じる」と話しました。
大石知事は、5月に長崎空港も開港50周年を迎えたことに触れ、「2025年がソラシドエアと同じく節目の年であり、この関係性がより発展していくことを願うべく、県としてもさらに盛り上げていきたい」と話しました。
ソラシドエアは九州・沖縄の各地域をPRする「空恋プロジェクト」を実施しており、長崎県ではこれまでに大村市、南島原市、五島市、波佐見町の4自治体と連携。4自治体のご当地キャラクターや名産品をラッピングした機体を、それぞれ1年~1年半運航しました。
ラッピング終了後も、各自治体との包括的連携協定に基づき、地域の名産品販売のサポートや教育・文化交流など、幅広い取り組みを推進しています。
燃料価格の高騰など課題を抱えながらも、650万人の利用実績に支えられた地域との信頼関係を基盤に、ソラシドエアの長崎~羽田線は新社長のもと、次の20年に向けて新たなスタートを切ります。