東海クラリオンの大型トラック・トレーラー向けの警報カメラシステムが、全日本トラック協会の安全装置の設置助成の対象に選ばれました。「左折の巻き込み事故」のリスクを低減するシステムですが、どのような仕組みなのでしょうか。

大型車の「巻き込み事故」リスクをAIと小型カメラで低減する!

 東海クラリオンは2025年8月4日、大型トラックやトレーラー向けの警報カメラシステム「A-CAM3」が、全日本トラック協会が定める安全装備の導入を促す助成事業の対象に選ばれたと発表しました。大型車の運転において常に問題となる「巻き込み事故」のリスクを低減するシステムとなります。

「左折が危険」大型車の“巻き込み警報システム”普及なるか 助...の画像はこちら >>

交差点を左折するトラック(画像:PIXTA)

 大型トラックやトレーラーはドライバーからの死角が大きくなりがちで、また前輪から後輪までの距離が一般的な乗用車に比べて長く、左右に曲がる際は前と後ろのタイヤが通る軌跡の差である「内輪差」が大きいという問題を抱えています。特に左折時は、車体左側を通る歩行者や自転車、バイクなどと接触する巻き込み事故が発生しやすく、しばしば重大な事故にも発展しています。このため、大型車の新型車では2022年から同様の装備が義務化されています。

 A-CAM3は、同社の巻き込み警報カメラシステムとしては3世代目のモデル。大型トラック向けの初代とトレーラー向けだった2代目の機能を統合し、どちらにも取り付け可能となりました。また改良により、全国で初めて全日本トラック協会の「側方衝突監視警報装置」としての助成基準もクリアしています。

 この装置は、ドライバーの死角を小型カメラとAIで撮影・解析する仕組み。歩行者や自転車などを検知した際は、警告音やインジケータなどでドライバーに危険を知らせます。検知範囲は車両側方の5m×21mと広く、車体左側だけでなく右側にも設置が可能。また、中型以下のサイズの車両にも取り付けることができます。

 巻き込み事故は大型車の性質上、わずかな見落としが重大な結果につながります。東海クラリオンは2026年8月までに2000台のA-CAM3を導入し、巻き込み事故を防止していきたい考えです。

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