東京港・晴海埠頭でクルーズ船を見られる日が戻ってきました。晴海客船ターミナルにクルーズ船が入るのは5年ぶり。
【すごい光景…】これが晴海に入った「巨大クルーズ船」です!(写真78枚)
菊田所長はあいさつで「今後、東京港は東京国際クルーズターミナルと晴海客船ターミナルの2拠点でクルーズ船の受け入れを進めていく」と話しました。
東京港は長い間、晴海埠頭がクルーズ船の発着地でした。特に東京港開港50周年(1991年)を記念して建設された特徴的なデザインの旧ターミナルビルは、イベント会場としても数多く活用されたこともあり、約30年にわたってベイエリアのランドマークとして親しまれてきました。
しかし、世界最大級の超大型クルーズ船に対応した東京国際クルーズターミナルが新たな東京港の玄関口としてお台場・青海に整備されたうえ、建物自体の老朽化も進行していたことから、多くの人に惜しまれつつ2022年2月に閉館し解体されました。
今回、「三井オーシャンフジ」を出迎えた新しいターミナル施設は旧ターミナルビルの跡地に作られました。展望台やホール、レストランなどの施設が置かれていた旧ターミナルと違い、外航クルーズ船に対応したCIQ(税関、出入国管理、検疫所)機能は持つものの、平屋建てのコンパクトなものになっています。
ちなみに旧ターミナル時代に最後に寄港したのは商船三井クルーズの「にっぽん丸」(2万2472総トン)で、これは2020年2月のことでした。晴海客船ターミナルの休止と再開がどちらも商船三井の船となったわけです。
「クルーズターミナル埋まってます!」東京都港湾局の担当者は晴海客船ターミナルの位置づけについて「レインボーブリッジをくぐれるラグジュアリー船がメイン」と話します。
晴海に入った「三井オーシャンフジ」から。
「お台場の東京国際クルーズターミナルは1バースしかなく、受け入れ態勢が不足していた。これまでは船社から東京港を希望する問い合わせがあっても、東京国際クルーズターミナルが埋まっていると断るしかなく、キャンセル待ちとなることもあった」と、ニーズの取りこぼしがあったことを明かしました。
「2バース体制になることで、超大型船は東京国際クルーズターミナルへ、ラグジュアリー船は晴海客船ターミナルへと住み分けられ、より多くのクルーズ船の受け入れを行えるようになる」
特に東京国際クルーズターミナルは、オリエンタルランド(OLC)が2028年度の就航を目指すディズニークルーズの拠点に選ばれています。計画されているディズニークルーズの新造船の規模は14万総トン、乗客定員4000人。就航航路は東京港を発着する2―4泊程度のショートクルーズが中心であることから、東京国際クルーズターミナルは頻繁に同船が出入りすることになります。
こうした点からも、東京国際クルーズターミナルだけでは受け入れ機能が早々とパンクすることが予想されるため、晴海客船ターミナルと合わせた複数バース体制の運用が必要でした。晴海埠頭には7万7499総トンの「シー・プリンセス」が接岸した実績もあり、華やかなクルーズ船を再び日常的に見られるようになりそうです。
湾奥に位置する晴海客船ターミナルのメリットはなんといっても、都心や観光地へのアクセスが便利という点があげられます。下船後に銀座や築地、豊洲へすぐ移動できるのは大きな強みでしょう。さらに東京オリンピック・パラリンピックの選手村跡地を改修した新街区「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」のオープンに伴って東京BRTを含めたバス路線が拡充され、公共交通機関によるアクセス機能も強化されました。ターミナルから徒歩圏内でカフェやコンビニ、スーパーなどを利用できる点も心強いです。
菊田所長が「本格開業は今年 11 月を予定している」と話す通り、晴海客船ターミナルでは10月中に観光バスやタクシー、ハイヤーの待機場を整備。11月の本格開業後は一般の人でもターミナル建屋に入れるようになります。
ただ、旧ターミナルビルにあったような送迎デッキはなく、乗船客を見送るスペースなどの整備は「今後の課題」(港湾局担当者)としています。このため利用状況などの様子を見ながら施設のアップデートが行われていく可能性があります。
今回、寄港した「三井オーシャンフジ」は8月16日にも晴海客船ターミナルに入ります。2026年は晴海埠頭へ50回のクルーズ船接岸が予定されており、港湾局の担当者は「船のある暮らし、クルーズ船の汽笛などを海の風景の一部として楽しんでほしい」と話していました。