海上自衛官と聞くと、真っ先に思い浮かぶのは海の上を駆け回る艦艇勤務、すなわち「艦乗り」でしょう。
【マンガを見る】「艦乗り」だけじゃない! 海上自衛隊にも陸勤務も空勤務もあるよ
しかし、海自の仕事はそれだけじゃありません。
そもそも、海上自衛官=艦乗りではないと聞いて、「えっ!?」ってなる気持ち、わかります。ただ、それこそ事務や広報といったデスクワーク全般、艦艇の修理を担当する部隊、ミサイルの整備をする部隊などは陸上施設で勤務しているため、働き方はほぼサラリーマンに近いです。
たまに当直勤務で部隊に泊まることもありますが、艦艇勤務に比べれば頻度はグッと少なく、予定も立てやすいのが特徴。つまり「いつ帰ってくるかわからない…」みたいな状況はかなり少なめです。ゆえに、交際や結婚生活も安定しやすい傾向です。しかし、艦艇の乗組員と違って乗組手当や航海手当がつかないので、二馬力で家計を安定させられると安心でしょう。
また、希望や適性次第では「飛行科」という航空機を扱う部隊への配属も海上自衛隊ではあります。「ええっ、海自なのに空?」と思うかもしれませんが、哨戒機や救難飛行艇、護衛艦に搭載される艦載ヘリなどは海上自衛隊の航空部隊で運用しています。
これら部隊では、パイロットも整備士も空自ではなく「海自」所属。さっきから海自なのに陸上とか、海自なのに空とかややこしくてスミマセン。
そういった海上自衛隊の各種職種の中でも「予定が一番読めない」と言われているのが「潜水艦勤務」です。
高給取りの隊員の働き方って?通称『海の忍者』と呼ばれる潜水艦に関する職種は本当に謎が多い! 知人のハナシでは、朝起きたらいつの間にか出港していて、いつの間にか帰ってきているのだとか。出港や帰港の予定も公開されないため、家族やパートナーも「気配」で察するようになるそうです。長年連れ添うと、洗濯物の量や持っていく荷物の中身で「そろそろかな」ってわかるようになるとか……。まさに忍者、いえ“熟練の技”です。
とはいえ、パートナーがどんな職種であれ共通して言えるのは「慣れる」ということ。最初は戸惑うことも多いし寂しいと感じるかもしれません。でも、そのうち生活リズムがつかめてくるし、むしろ会えたときの時間を大切にできる関係になることも。だからこそ、メリハリのあるお付き合いができたりもします。
それに、自衛官は「国防」という仕事をしています。今日必ず帰ってこられる保証なんてどこにもありません。だからこそ、彼らと一緒に生きていくパートナーには、その覚悟が求められると言えるでしょう。
なお、結婚式の際に必ず上司が伝える言葉があります。「ケンカは、その日のうちに仲直りしておくこと」。なぜなら、明日また会えるとは限らないから。ちょっと重いかもしれませんが、その重さを受け止めた先には、誰よりも深い絆があるはずです。
ちなみに、住む場所についても一言。基本的に艦艇勤務が多いため、住まいは港町がメイン。幹部クラスになると転勤もあるので、引っ越しもそれなりにあるかも。ライフスタイルはちょっと特殊だけど、その分、普通とは違う幸せの形がある……。そう思えたら、きっとこの道も悪くないはずです。
では、最後に海上自衛隊で最も手当が多くもらえるのはどのような隊員か、お教えしましょう。それは潜水艦でも哨戒機でもありません。じつは艦艇への発着を行う哨戒ヘリコプターの搭乗員です。彼らは、航空手当にプラスして航海手当もつくため、高給取りといわれています。