航空機エンジンメーカーのロールス・ロイスは、2025年8月20日、自社が所有するボーイング747-200型のフライング・テスト・ベッド(FTB)「N787RR」を引退させると発表しました。
【画像】変なエンジン付いてる! これがRRのテスト機N787RRです
N787RRの大きな特徴は、特別な改造によって通常の747シリーズ機に搭載されている4基のエンジンに加え、さらにもう1基を搭載し、計5基のエンジンを同時に運用できる点にあります。
この構成により、同機は2005年の運用開始以降、「トレント1000」や「パール 10X」などの次世代エンジンの開発・テストにおいて、重要な役割を果たしてきました。
また、2021年には100%持続可能な航空燃料(SAF)のみでトレント1000を稼働させて飛行するという、航空史に残る画期的な成果も達成。その後、エンジンの耐久性向上パッケージの認証取得にも貢献しています。
N787RRの総飛行時間は2000時間を超えており、試験・実験工学ディレクターのジョン・ナイト氏は「まさに我々の“働き者”でした。エンジン開発の限界を押し広げるうえで欠かせない存在でした」と同機を称賛しました。
今後ロールス・ロイスは、エンジンや新燃料の試験飛行について、飛行テスト機、地上試験設備、そして高度なデジタルモデリングを組み合わせたアプローチに移行する方針であり、ボーイング747のような大型機を試験に使用する予定は、現状ではないようです。