東海環状道の新区間である「本巣IC~大野神戸IC」間が2025年8月30日に開通。これにより、東名・新東名、中央道、東海北陸道、名神の各路線を繋ぐ、環状の部分が完全につながりました。
【え…!】その差歴然!「東海環状道」と「圏央道」のSA・PA(地図/写真)
今回の開通区間には「本巣PA」(岐阜県本巣市)が新設されています。PA自体は駐車場とトイレのみですが、大型の遊具などを持つ一般道側の公園施設「もとまるパーク」と連結しており、高速道路利用者も公園などを利用できます。
この本巣PA、東海環状道では6つ目のSA・PAになります。現在開通済みなのは136.6km。そのなかで6施設あるので、平均して19.5kmの設置間隔です。
これと“雲泥の差”を呈しているのが、東海環状道と同じ路線記号「C3」を冠する、関東の「圏央道」です。
圏央道にあるのは全てPAですが、その設置間隔が非常に長く、トイレになかなか行けないことでも知られます。開通済み延長264.1kmに対し、PAの数は6つ。設置間隔は平均すると約37.7kmです。
そのうちの一つ、坂東PA(茨城県坂東市)は2025年8月現在で内回りしか開設されておらず、外回りは菖蒲PA(埼玉県久喜市)から江戸崎PA(茨城県稲敷市)まで、75.9kmも離れています。未開通部のある東側の千葉県内では、もう2つのPA設置が予定されているものの、西側区間には予定もなく、厚木PA(神奈川県厚木市)と狭山PA(埼玉県狭山市)の間も50.1kmあります。
このため、東海環状道を走った人からはSNSで、
「ドライバーに優しいC3東海環状道 ドライバーに厳しいC3圏央道 ど う し て こ う な っ た ?」
との声もあるほどです。
いうても東海環状道、お店ぜんぜんなくない?NEXCO東日本は以前の取材時、圏央道のPAについて「圏央道単体で考えるのではなく、交差する常磐道、東北道などの放射道路におけるSA、PAの位置関係を踏まえて検討した結果、PAのみの配置になりました」と話していました。環状道路を走り通すのではなく、放射道路間を行き来するような利用をメインに想定していたことが、休憩施設の設置間隔にも現れていると考えられます。それでも、たとえば東北道(久喜白岡JCT)-常磐道(つくばJCT)間52.4kmにPAがなく、ようやく内回りのみ坂東PAが開設されるという有様です。
圏央道外回りで建設中の坂東PA付近(2024年)。内回りはすでに開通しており、併設するハイウェイオアシスに売店もある(乗りものニュース編集部撮影)
他方、東海環状道のSA・PAにも特徴があります。それは、SA・PA内に商業施設などがほとんどないこと。本巣PAのように、自治体や民間が整備した施設が併設されており、高速道路利用者もそちらを使う想定のところがほとんどです。
岐阜国道事務所によると、東海環状道の場合は、国が整備するのは最小限の設備で、地域と連携して路外の設備が出来上がっていったといいます。「スマートICもそうですが、SA・PAの設置計画に基づいて市町さんが主体に動かれた」とのこと。そうした設備は地域の拠点になっています。
一般的に、高速道路のSAには売店・食堂・給油所が、PAには売店が設置されますが、これはあくまで目安であり、採算性や立地、利用状況によって商業施設がないSA・PAも増えています。
他方で、東海環状道のように路外の施設と連携するケースも全国的に増えているほか、ETC2.0利用者を対象に高速道路で一時退出して一般道の「道の駅」を利用可能とするような制度も広がっています。
圏央道も、早い段階で整備された西側区間の厚木、狭山、菖蒲PAはNEXCO中日本や東日本が商業施設を運営していますが、現在、4車線化や未開通部の建設が進む東側区間のPAは、商業施設がありません。前出の坂東PAや、整備中の神崎PAも、路外のハイウェイオアシスや道の駅と連携するタイプです。