茨城県取手市は2025年8月、桑原地区で計画している土地区画整理事業について、事業協力者のイオンモール・イオンタウンJVが物価高騰などを踏まえ、土地の使用範囲を大幅に縮小する提案を地権者に行っていたことを明らかにしました。
桑原地区は、国道6号と取手駅を中心とした市街地を環状に結ぶ都市計画道路・上新町環状線が交差する場所にあり、JR常磐線も近接しています。
市は2017年、土地区画整理事業の事業協力者としてイオンモール・イオンタウンJVを選定。その後、地権者で構成する土地区画整理準備組合を含めた3者で覚書を締結し、開発に向けた協議を進めてきた経緯があります。
当初の計画では、国道6号を挟んで北側の敷地に道の駅や温浴施設、スーパーマーケットなど、南側の敷地に広域集客型ショッピングモールや住宅などを整備することが想定されていました。計画地の全てが商業施設になるわけではなく、別の施設や緑地も含まれますが、敷地面積では現時点で日本最大級の商業施設であるイオンレイクタウン(34ha)を大きく上回る見込みとなっていました。
地元では桑原地区の開発に合わせて常磐線に新駅の設置を求める声もあります。ただ桑原地区は取手駅から約2キロと近く、藤代駅や常総線の各駅も近接しているため、市は取手駅や藤代駅との間を結ぶ公共交通ネットワーク(路線バスなど)を構築する方針を示しています。
市は8月18日に開いた議員全員協議会において、物価高騰や施工業者の受注控えといった社会情勢の変化により、イオンモール・イオンタウンJVが、これまで計画していた地区全体の土地利用から一部の土地利用(国道6号を挟んで南側の敷地のみ)に縮小する提案を地権者に行ったことを明らかにしました。また、イオンモール・イオンタウンJVは、土地区画整理事業の実現性を高めるため、これまでの組合主導による運営から、ゼネコンなどに組合業務を一括で委託する「業務代行方式」も提案したとしています。
これにより、土地区画整理事業の面積は変わらないものの、イオンモール・イオンタウンJVが利用する面積は計画当初と比べて5割弱となる見通しです。市は残る敷地(国道6号を挟んで北側の敷地)については、大規模商業施設と共存したり、相乗効果を生むような施設を誘致することになると説明しています。
土地区画整理準備組合は今後、提案の是非の判断は一旦保留とした上で、業務代行方式の実現可能性や事業への効果を検討する予定。