現道は大型車のすれ違いが困難

 国道158号「奈川渡(ながわど)改良」事業の一環として、新入山トンネルの工事が進行中。2025年9月からは、夜間の交通規制が始まりました。

【難易度MAX】国道「Y字分岐トンネル」新トンネルでどうなる?(地図と写真)

 長野県松本市から西へ延びる国道158号は、上高地や岐阜県の飛騨・高山方面などに通じる重要な道路です。現在は自動車専用道路としての「中部縦貫道」を建設するプロジェクトも進んでいますが、まだまだ時間がかかるため、並行して険しい現道の改良も進められています。奈川渡ダム(松本市)付近の難所を解消する「奈川渡改良」もその一つです。

 国道158号は長野のみならず日本を代表する観光路線ということもあり、ピーク時期には1日約120台以上のバスが通るといいます。しかし、奈川渡ダム付近の現道は、幅5.8mの狭いトンネルが4本連続し、大型車のすれ違いが困難なため滞留が発生しています。

 奈川渡改良はこれらの課題を解消するものです。急勾配かつ急曲線が続く現道を、橋と2本のトンネル(2.2km)で一気に結びます。うち、東側の大白川トンネル(延長1534m)は2019年7月に貫通。現道のヘアピンカーブをまたぐ大白川大橋(延長83m)の架設も2023年5月に完了しています。

 残る新入山トンネルは、現道の「入山隧道」と、その坑道からY字に分岐する「新入山隧道」に代わる新たなトンネルです。

夜間に一部が通行止めに

 新入山トンネルは、大白川大橋から緩くカーブを描き、既存の入山隧道分岐部を避けつつ隧道と山中で交差し、新入山隧道とダム側坑口で合流します。長さは410mです。

既存の新入山隧道ダム側坑口は断面を拡幅し、坑内で既存トンネルと新トンネルが合流(分岐)する形となります。

「トンネル掘って、広げて、つなぐ」 標高約1000mの観光国...の画像はこちら >>

入山隧道の松本側。左に曲がったところがトンネル。Y字分岐の案内標識が(画像:PIXTA)

 現場では、このような新旧トンネルの接続と既存トンネルの拡幅を進める難工事が、全面的な通行止めを行わずに進められています。

 2025年9月は、ダム側坑口で山の斜面を補強する工事を継続。これにあわせて10月31日までの夜間、分岐部~ダム間の新入山隧道が通行止めとなり、入山隧道のみを使って片側交互通行となります。時間は土休日を除く毎晩20時から翌5時(土曜は翌4時)までです。

 なお、入山隧道の西半分(ダム側)は幅が狭く、坑口付近にきつい急カーブもあります。そのため夜間交通規制時は、長さ12.0mを超える車両は通れないため注意が必要です。

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