世界屈指の軍事博物館であるイギリスの「ザ・タンク・ミュージアム」、通称「ボービントン戦車博物館」は2025年8月28日、公式XやFacebookなどで「FV4005」駆逐戦車が射撃する一連の様子を収めた動画を公開しました。
【動画】砲塔の中まで! これが183mm砲射撃の一部始終です
FV4005は、イギリスが1950年代に開発した戦闘車両で、史上最大の戦車砲を積んでいるのが特徴です。
しかし、大きすぎて砲弾の人力装填は不可能。ゆえに砲塔内部に補助装填装置を装備したものの、装填手は2名必要でした。
また、あまりにも砲塔が大型化したため、重量を軽減するために砲塔の装甲厚はわずか14mmしかありませんでした。この厚さでは12.7mm重機関銃ですら貫通してしまうほどだったそう。しかも、砲塔は全周旋回ができず、射角は左右90度までに限定されたといいます。
それでも重量は50tあったため、最大速度は30km/hしか出ず、兵器としては使い勝手が悪すぎたことから1957年8月に開発は中止され、試作車1両が造られただけで終わっています。
ザ・タンク・ミュージアムが公開した動画には車体前方に装備した主砲支持架を外し、車体後方に備えた駐鋤(ちゅうじょ)を下ろして車体の安定性を確保。2人がかりで砲弾を装填したのち、装薬も入れ、目標に対して射撃するまでの一連の様子が収められています。
なお、説明によると183mm砲弾は重量97kg、全長144cmあり、FV4005には12発しか搭載できなかったとのことでした。