砲は精密で車内環境も快適

 ウクライナ国防省の公式ニュースサイト「アーミーインフォーム」は、2025年8月30日、イギリスから供与された主力戦車「チャレンジャー2」の現状について報じました。

【画像】待ち伏せに特化 これが、スナイパー化したチャレンジャー2です

 チャレンジャー2は現在、クルスク方面に展開しているウクライナ空挺軍第82独立空挺強襲旅団(ブコビナ旅団)に、かなりの数が配備されているようです。

 ウクライナとロシアの戦闘では、歩兵が携行する対戦車兵器や自爆ドローンの進化により、戦車の運用方法も変化しています。現在では、戦車が平地に大量投入されて防衛線を突破する機会は減少しています。

 そのため、戦車も巧妙に姿を隠して作戦行動を取るケースが増えていますが、チャレンジャー2はそのような状況下でも高い適応性を見せており、「ヘラ」と名乗る戦車部隊の指揮官によれば、同戦車はまるでスナイパーのように行動し、待ち伏せて遠距離から敵車両を狙撃し、そのまま離脱するという戦術を採っているとのことです。

 ヘラによると、敵車両を撃破した最長距離は5300mに達するといいます。この高精度は、砲身内にライフリング(溝)が刻まれたライフル砲により弾道が安定することに加え、詳細は明かされていないものの、機密に関わる照準システムの効果もあると考えられています。

 さらに、チャレンジャー2は待ち伏せ時にエンジンや発電機を起動せずにバッテリーだけで約2時間稼働できるため、車体の温度が上がらず、敵のナイトビジョンやサーマルスコープに捕捉されにくいという特徴があり、待ち伏せ作戦に非常に適しています。

 それ以上に注目すべきは、待機中の車内の快適性です。チャレンジャー2は、旧ソ連製戦車はもちろん、アメリカのM1「エイブラムス」やドイツの「レオパルト2」と比較しても内部が広く設計されており、さらに、マルチクッカー(多機能調理器)、トイレ、エアコンまで装備されているため、乗員にとって非常に快適な車両となっています。

なお、チャレンジャー2はイギリスから14両が供与されたとされ、2023年夏頃からウクライナ軍に配備され始めました。一部の車両はすでに撃破されたと見られています。

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