JR東海は2025年9月3日、リニア中央新幹線の構造物に使う低磁性鉄筋について、世界で初めて、代替し得る材料の大量生産技術を開発したと発表しました。
リニア中央新幹線の構造物は、超電導磁石の力で走る車両への抵抗を小さくするため、磁界の影響を受けにくい「低磁性鉄筋」を使っています。
今回、大量生産の技術が確立されたのは、この低磁性鉄筋を代替し得る材料「バサルトFRP(Fiber Reinforced Polymer)筋」です。
JR東海によると、バサルトFRP筋は、玄武岩を原料としたバサルト繊維で作られます。同社は従来の製造方法を改良し、冷却すると硬化する熱可塑性樹脂を用いて、短時間で様々な太さ(直径5~32mm)のバサルトFRP筋を大量生産できる世界初の技術を開発。2021年から小牧研究施設と山梨リニア実験線で実証試験を行い、強度や品質などについて十分な性能を確認したといいます。
鉄筋と比べ、バサルトFRP筋は、磁界の影響を受けない(非磁性)、電気を通さない(絶縁性)、腐食しない(非腐食性)、重量は約5分の1(軽量)、降伏強度は約3倍(高強度)――といった特長があります。
これにより、走行時の抵抗が抑えられ電力消費量が低減、また、非腐食性のためコンクリート構造物の耐久性が向上し維持管理コストが低減、軽量のため施工性の向上などが期待できるとしています。
JR東海は今後、リニア中央新幹線の走行路などへの適用に向けて、引き続き実験線区間で試験施工を実施。あわせて非腐食性の特長を生かし、塩害を受けやすい東海道新幹線の浜名橋りょうで、橋脚のひび割れ防止工事にも適用していく方針です。