高速アクセスがビミョーな「銚子」

 千葉県東部が2026年度、大きく変わりそうです。「圏央道」の未開通部である大栄JCT-松尾横芝IC間が開通し、アクアライン方面から成田空港へのルートが拓けるほか、「東関東道」が水戸まで延伸し、茨城県と千葉県の行き来が格段に便利になる予定です。

【いつできる…?】これが「銚子への最速ルートに“なるはず”の道」です(地図/写真)

 しかし、このアクセス改善の恩恵が限定的かもしれないのが、関東最東端の犬吠埼を擁する「銚子」です。現状でも高速道路からは、かなり離れています。

 まず、銚子市が2025年現在、ウェブサイトで紹介しているクルマでのアクセス方法は次の通り。

(1)東京方面から東関東自動車道-佐原香取インターチェンジで降りる。佐原香取インターチェンジから国道356号を銚子方面へ(インターチェンジから約1時間)。
(2)東京方面から東関東自動車道-成田インターチェンジで降りる。成田インターチェンジから国道296号-多古-東総広域農道-銚子方面へ(インターチェンジから約1時間20分)。
(3)千葉市方面から千葉東金道路-銚子連絡道路-横芝光インターチェンジで降りる。横芝光インターチェンジから国道126号-銚子方面へ(インターチェンジから約1時間)。
(4)水戸市方面から国道51号-鹿嶋-国道124号-銚子方面へ。

(1)から(3)はかんたんに言うと、高速道路から利根川沿い(1)、太平洋側(3)、その中間ルート(2)ですが、どれも時間がかかります。

 このうち(2)は圏央道の延伸によって途中に「多古IC」ができるので、若干の時間短縮にはなりそうですが、現状でも成田JCTから新空港道を使って空港を突っ切るルートがあるため、時短効果は限定的でしょう。

 また、(3)はすでに若干の時間短縮がなされています。2024年3月に銚子連絡道が横芝光ICから匝瑳(そうさ)ICまで約5km、延伸したためです。それでも、やはり時間はかかるうえ、「千葉市方面から」とあるように、このルートは東京方面からだと若干の迂回になります。

(4)の水戸からのアクセスは東関東道の延伸で高速道路経由に切り替わるかもしれませんが、このルートは現在の終点である潮来IC(茨城県潮来市)から内陸寄りに水戸まで結ぶため、やはりアクセス改善効果は限定的といえそうです。

銚子連絡道の延伸はいつだ?

 ただ将来は、(3)の銚子連絡道路ルートが、名実ともに東京からの最速ルートとなるかもしれません。

関東最東端「銚子」って、車でどういけばいい…? どれもビミョ...の画像はこちら >>

多古経由ルート、東総広域農道の終点(乗りものニュース編集部撮影)

 銚子連絡道路は匝瑳市から旭市までのIII期区間およそ13kmが2022年度に事業化し、現在、2026年度からの工事着手に向けて設計が進められています。完成は2031年度の予定です。

 その先の「飯岡バイパス」は開通済み。さらに旭・銚子市境部の線形不良区間を短絡する「八木拡幅」5.7kmが完成すると、ようやく銚子市まで高規格道路が通じます。ただし、「八木拡幅」は2006年に事業着手しているものの、2031年度までの予定が2034年度に延長されています。

 ここまでくると、銚子市から千葉市への所要時間は事業化前の114分が91分に、銚子漁港-豊洲市場間は153分から129分になるといいます。ただ、それに至るまで、あと9年はかかる見込みです。

 なお、前出した銚子市のアクセス方法は、次のようにも紹介されています。

・特急しおさい号(総武本線) 東京から銚子まで約1時間45分。
・高速バス 東京(浜松町)から銚子(犬吠埼)まで約2時間40分。

 千葉県や茨城県東部では、高速道路の利便性が向上し、各地で高速バスが特急にとって代わりましたが、銚子の場合は連絡道が整備されてもなお、所要時間では鉄道に軍配が上がる見込みです。本州最東端の犬吠埼も、銚子電鉄の犬吠駅から徒歩圏内です。

一部修正しました(9/13)

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