2025年9月8日、山口県の在日米軍岩国基地にアメリカ海兵隊第232戦闘飛行隊のF/A-18C/D「ホーネット」戦闘攻撃機が飛来しました。「レッドデビルズ」という愛称を持つこの飛行隊は、アメリカ本土の戦闘機部隊がローテーション展開するUDP(Unit Deployment Program:部隊交代計画)に基づき派遣されたものです。
現在、岩国基地には2つのF-35B「ライトニングII」飛行隊が常駐しており、この部隊を補完するためにアメリカ本土の飛行隊が約半年の期間で派遣されています。これまではF-35Bを運用する第214戦闘飛行隊「ブラックシープ」が派遣されていましたが、このたび第232戦闘飛行隊のF/A-18が交代で岩国基地に展開することになります。
今回派遣されたF/A-18C/D「ホーネット」は、映画『トップガン・マーヴェリック』に登場したF/A-18E/F「スーパーホーネット」よりも古い機体で、それが最新鋭ステルス戦闘機であるF-35Bと交代して前方展開するというのは奇妙にも思えます。
アメリカ海兵隊では、これまで運用してきたAV-8B「ハリアーII」とF/A-18「ホーネット」をF-35BおよびF-35C(空母艦載型)へ更新中です。このような更新計画や予算の関係から、アメリカ海兵隊にはF/A-18E/F「スーパーホーネット」の導入予定がなく、結果海軍とは異なりF/A-18C/D「ホーネット」を使い続けているのです。
しかし、F-35の開発・配備スケジュールが遅れていることから、更新完了は2030年頃の予定だとか。ゆえに、それまではローテーション配備において今回のようにベテラン機の飛行隊が派遣されることもある模様です。
なお、F/A-18もこうした状況に対応し第一線戦力として維持できるよう、一部の機体に対して継続的なアップグレードが施されています。具体的には、機首に搭載する旧式の機械式レーダーを、最新のAPG-79(v)4 AESAに更新しているほか、機体改修による飛行時間の延長措置も実施中です。さらに昨年には長距離スタンドオフミサイルAGM-158Aの搭載・システム統合も行われました。
こうした改修を施すことで、アメリカ海兵隊はF/A-18C/Dを2030年以降も運用可能なようにして、F-35B/Cの配備が遅れても各種任務に対応できるよう備えています。