イギリスのロンドンで開催されている防衛・安全保障分野の国際的な展示会「DSEI UK」において、イスラエルのラファエル社はレーザー兵器システム「アイアンビーム」の最新型である「アイアンビーム450」を展示しました。
アイアンビームはレーザーを使った対空防御兵器で、従来のミサイルや対空砲のように高価な弾薬を必要とせず、電源を供給すれば安価(1回の射撃のコストは数百円程度)かつ無尽蔵に迎撃できるのが特徴です。
レーザー兵器は照射するレーザーの出力によって威力や射程が変化します。日本の防衛装備庁も「車両搭載高出力レーザ実証装置」(原文ママ)を研究開発しており、2024年の自衛隊観閲式で初公開して話題になりました。
しかし、こちらの最大出力は10kW級で小型ドローンの迎撃が限界とされています。一方、今回展示された「アイアンビーム450」のレーザー出力は、その10倍となる100kWとされており、ラファエル社の説明によれば無人航空機や巡航ミサイルといった大型目標の迎撃まで可能だとしています。
近年、低価格の無人機(ドローン)が軍事兵器として注目を集めており、その対策としてレーザー迎撃システムが注目され、各国で開発が進められています。防衛装備庁でも「車両搭載高出力レーザ実証装置」とは別に、100kW級レーザー兵器として「電気駆動型高出力レーザシステム」を研究開発しています。
しかし、「アイアンビーム」は開発面で先を行っており、イスラエル国防省は今年(2025年)中の実用化を目指す模様です。
近年のイスラエルは周辺国との武力衝突を繰り返しており、これらレーザー兵器が実戦で戦果をあげるのも、そう遠くないかもしれません。