日野自動車は2025年10月24日、燃料電池で動く大型トラックの「プロフィアZ FCV」を新発売します。量産モデルの大型トラックでは、日本初の燃料電池車となります。
【40万kmも走ったの!?】これが「カンガルー」や「黒猫」が描かれた燃料電池トラックです(写真で見る)
燃料電池車(FCV)は、水素と酸素の化学反応によって電気を生み出し、モーターを駆動して走るクルマです。電気ではなく水素を補給し、排出するのは水だけというのが最大の特徴です。
モーターで走るクルマといえば、充電した電気で動くバッテリー式電気自動車(BEV)のほうが現在は一般的でしょう。しかし、BEVは大型商用車など、大きなパワーや長い航続距離が必要なクルマとは相性が良いとはいえず、こうした車両の電動化は、FCVをはじめとした異なる手法が模索されています。
今回発売されるプロフィアZ FCVは、大型トラックの「プロフィア」をベースに、トヨタと日野が共同開発したFCVです。2023年には実証実験が行われており、西濃運輸やヤマト運輸、トヨタなどの5社が、FCVの試作トラックを実際の業務に使用。のべ40万km以上を走破しています。
通常のプロフィアは、排気量約9000ccのディーゼルターボエンジンを搭載していますが、Z FCVは、大型車用に改良したトヨタ「MIRAI」用の燃料電池ユニット2基を搭載しました。燃料には高圧水素を用い、約15分から30分程度の充填で約650kmの走行が可能です。燃料タンクは計6基を搭載し、最大で50kgの水素を充填できます。
また、シャシーも燃料電池車用の専用設計となっており、車体サイズは全長11.99m×全幅2.49m×全高3.78m、車両総重量は25tにおよびます。荷台部分のバリエーションは一般的な箱型の「ドライバン」のほか、荷室の側面と天井部分が一体に跳ね上がる「ウイングバン」を用意します。
販売方法に関しては、維持管理や修理などの費用も一括となった「フルメンテナンスリース」のみとなります。また販売地域も当面のあいだ、経済産業省が商用FCVの導入を促進している重点地域、すなわち東京・神奈川・福島・愛知・兵庫・福岡の1都5県が中心となる見通しです。
なお、日野はプロフィアZ FCVを、通常のディーゼルエンジンモデルと同じ茨城県の古河工場のラインで製造する計画で、これによりFCVタイプ大型トラックの普及につなげる意向を示しています。