船内に「巨大商業施設」が…。

 ANA(全日空)が2025年、新規就航したことで話題となった北欧・スウェーデンの「ストックホルム」。

ここから客船に乗り、バルト海に挟まれたスウェーデン、フィンランド、そして「バルト三国」を構成する国のひとつであるエストニアを船でクルーズしながら周遊するツアーが人気を博しているそうです。どのようなものなのか、実際に巡ってみました。

【写真】すげえ…!これが「北欧で最も豪華な定期客船」驚愕の全貌です

 この客船を運航するのは、エストニアを拠点とするクルーズ船会社「タリンク・シリヤ・ライン」です。同社は12隻の船舶を所有・運航し、5つの航路を運航。利用者数は2024年で550万人を超えているといいます。このほか、さらに系列に4つのホテル、飲食店などを運営しています。

 ストックホルムからフィンランド・ヘルシンキまでは、旅行ガイドなどで「北欧で最も豪華な定期客船」と称されることもある「セレナーデ」号を利用しました。時刻表上の乗船時間は17時間です。

「セレナーデ号」の乗客定員は2800人で1000近い客室を搭載し、免税店、サウナやジャグジー、ライブショー施設も搭載しています。とくに特徴的なのは、船内を前後に貫く回廊「プロモナード」というエリアで、ここには多数のレストランやショップなどが備わります。船内のショッピングモールはテニスコート12個分の広さで、香水や化粧品、衣類や日用品など3万個以上の商品を取り扱っているとのことです。

 今回の客室は14平方メートルの「デラックス」を体験しました。

客室はまさに「海をわたるホテル」です。2025年9月18日時点では同クラスの基本運賃は最安137ユーロ(2万3875円)となっており、「物価の高い」北欧においては、ホテルよりも安いケースもあります。移動しながら夜を過ごし、複数の国を旅行するのであれば、とても有効な手段のひとつといえそうです。さらに同クラスでは、レストランでの朝食ビュッフェも込みとなっています。

風呂も飯もすごすぎる!近距離でも利用してみた

 さらにセレナーデ号にはサウナとジャグジーも備わります。このサウナは北欧でも有数の高評価を持つのだとか。体験するには12ユーロ(約2100円)が必要ですが、筆者が過去にそうしたヨーロッパ圏のスパ施設にいったところ、80ユーロ(約1万4000円)でしたので、かなりお手頃な価格設定といえるかもしれません。

「北欧で最も豪華な定期客船」に乗ったらド肝抜かれた件 これぞ...の画像はこちら >>

,「タリンクシリヤライン」の「マイスター号」と「バルティック・クイーン号」(乗りものニュース編集部撮影)。

 そして食事は、スタンダードなビュッフェ「グランド・ビュッフェ」では、当日購入でも50ユーロ(8714円)の価格が設定されています。これに加え、このビュッフェでは、アルコール類も”飲み放題”です。

 確かに日本の物価と比べると高いかもしれませんが、北欧で50ユーロの飲食代というのは通常「メインディッシュ・お酒2杯」程度で容易にいってしまう金額です。ここでは、新鮮な食材を使用し、近隣諸国や海外の食文化を取り入れた珍味を取り揃えているとのことで、サーモンやイクラ、そしてなんとキャビアが取り放題となっていました。

日本のホテルバイキングもびっくりの贅沢さです。

 また、ヘルシンキからタリンへは、近距離向けの船内仕様が設定された「マイスター号」のビジネスクラスを利用しました。乗船時間はわずか2時間ながら、ビュッフェ付きのラウンジで過ごすことができます。2都市は空路ではわずか30分の路線ですが、価格も抑えられかつゆっくりとできるほか、フェリーターミナルから都市部も近いので、トータルの時間を考えてもマイスター号を使う方がベターでしょう。

「北欧で最も豪華な定期客船」といわれるように、まるで巨大ホテルのようなつくりであるタリンク・シリヤ・ラインの船ですが、快適性と費用が両立した、まさにコストパフォーマンスの高い旅の選択肢でもあったわけです。

 また寄港地のひとつであるタリンも日本人には知られていませんが、まさに北欧と東欧のいいとこ取りのような景色で、ゴシック様式の市庁舎とかつての世界最高峰建築として知られる「聖オラフ教会」もあり、ほかの2国では味わえない雰囲気があり、物価も安くコンパクトで過ごしやすい都市です。

 ANAストックホルム便利用者をはじめとする北欧便の航空便利用者に、この船旅の人気が出る理由が、今回のツアーでわかるような気がしました。

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