「国直轄事業である『京奈和自動車道』の早期全線開通、これが本当に奈良県の道路問題のなかでも一丁目一番地の重要課題。大きく進展すればなあという勝手な期待はしている」
【高市さん道路?】これが「ブツ切り京奈和道」の現状と開通予定です(地図/写真)
奈良県の山下 真知事は2025年10月7日の定例会見にて、県内選出の高市早苗氏が自民党の新総裁に選ばれたことや、首相に就任した際に期待することを問われ、こう話しました。
山下知事は「奈良県は道路整備率が全国47位」であり、県内の「喫緊の課題」との認識を示したうえで、高市新総裁の就任で道路整備が進展することに期待感を示しました。とりわけ名称を出して説明したのが、京奈和道についてです。
京都府・奈良県・和歌山県を南北に結ぶ京奈和道は、全長120kmのうち約7割が開通済みですが、県内の人口が集積する奈良市から橿原市にかけて、未開通区間が2区間あります。
そのほか奈良・和歌山県内で開通している箇所は、2017年までに整備されており、現時点で全て無料です。暫定2車線区間が多くスピードこそ制限されますが、信号のない快適な移動ができます。
しかし、奈良市ー橿原市間の約26kmは一部区間のみの開通にとどまっており、開通区間の快適さと、未開通部の現道である国道24号の深刻な渋滞が好対照をなしています。
高市氏の総裁選出後、SNSでは「高市早苗が総理大臣になったら、爆速で京奈和開通したりしない……?」「高市さん、とりあえず京奈和道を早く開通させてください」と、建設の進展に期待する声が多く寄せられています。
残る2区間は“難物”が存在現時点で未開通なのは、奈良市から大和郡山市にかけての「大和北道路」12.4kmと、橿原市内の「大和御所道路」の一部(橿原北IC-橿原高田IC)4.4kmです。
橿原北ICまでの建設中区間。国道24号は慢性的に渋滞。2024年(乗りものニュース編集部撮影)
なかなか開通しない理由のひとつには、構造の難しさが挙げられます。大和北道路は、中間の奈良IC(仮称)を境に、北半分は主に国道24号より東側の奈良市街地を約4.5kmの地下トンネルで抜けます。
2025年8月末時点で用地は99%取得済み、工事着手率は68%といったところ。ただし北区間のトンネル工事はまだ始まっていません。なお、この大和北道路は開通後、NEXCO西日本が管理する有料区間となる見込みです。
大和御所道路も大半が高架区間ですが、未開通部の橿原北IC-橿原高田IC間は一部トンネル構造となる予定で、その開通見込みは示されていません。一方、橿原高田ICと国道165号「大和高田バイパス」を直結する「橿原JCTの大阪方面ランプ」のみ、2026年春の開通が予定されています。
京奈和道沿いの国道24号は、大型商業施設が多数立地し、信号も多く、京奈和道の高架が終わって地上の国道にクルマがなだれ込む手前から渋滞が始まります。部分開通の状態が、渋滞に拍車をかけている側面があります。
沿線自治体も早期整備を要望しており、その一つ田原本町は今年5月、大和北道路と大和御所道路の未開通部の供用に向けた「目標の早急な公表」を国に要望。このなかで、2031年に奈良県内の各所が会場となる「国民スポーツ大会」の大動脈として、京奈和道が極めて重要としています。

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