JMS 2025でお披露目の新コンセプトカー

 三菱自動車は2025年10月15日、「ジャパンモビリティショー2025(JMS2025)」の出展概要を発表しました。その目玉となるのが、世界初披露される「電動クロスオーバーSUV」のコンセプトカーです。

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 公式発表では「クルマで過ごす時間の上質さにこだわった」モデルと説明され、「都会的なスマートさとSUVらしい力強さ」を併せ持つデザインで、「広々とした室内空間により、出かけた先でグランピングのような贅沢な車中泊を可能にする」インテリアを備えるといいます。

 パワートレインは、三菱が得意とする電動化技術と四輪制御技術を融合し、険しい道でも力強い走行性能と快適な乗り心地を実現するとしています。

 このコンセプトカーについて、三菱自動車は車名が「パジェロ」だと明言していません。

 しかし、ブーステーマが「FOREVER ADVENTURE(永遠の冒険)」であること、会場には1985年のダカール・ラリーを制した初代パジェロの実車も展示されることなどから、SNSなどでは「パジェロ復活の布石ではないか」と期待を寄せる声が出ています。
「パジェロ」は、三菱自動車が1982年に発売した本格クロスカントリー4WD車です。ジープのライセンス生産で培った4WD技術を活かし、高い悪路走破性と乗用車並みの快適性を両立させた画期的なモデルとして登場しました。

 また、街乗りにも似合うスタイルは、それまでの武骨なオフロード車とは一線を画していたことから、国内RV市場の拡大をけん引する代表的なモデルとして一大ブームを巻き起こしたのです。

 また、その人気を決定づけたのが、世界で最も過酷といわれる「パリ・ダカール・ラリー」での活躍です。1983年の初参戦からわずか2年後の1985年に日本車初の総合優勝を達成しました。

 その後も改良を重ね、7連覇を含む通算12回の総合優勝という金字塔を打ち立て、「砂漠の王」として世界にその名を知らしめました。

パジェロ復活の可能性あるか?

 パジェロは4世代にわたり進化を続けました。2代目(1991年)では「スーパーセレクト4WD」を搭載して大ヒット。

3代目(1999年)では「ビルトインモノコックボディ」へと転換し、オンロード性能を高めます。

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初代「パジェロ」(画像:三菱自動車)

 そして最終型となった4代目(2006年)は、そのプラットフォームを熟成させたモデルとして、三菱自動車の「顔」的存在へと昇華していました。

 しかし、市場トレンドの変化やライバルとの競争激化もあり、国内向けは2019年8月をもって生産を終了。海外向けも2021年に生産を終えて、39年の歴史に幕を下ろします。

 国内最終モデルとなったのは、2019年4月に700台限定で発売された特別仕様車「ファイナルエディション」です。価格は453万円でした。

 ボディサイズは全長4900mm、全幅1875mm、全高1900mmの堂々たる体躯です。パワートレインは、最高出力190馬力、最大トルク441N・mを発生する3.2リッター直列4気筒クリーンディーゼルターボエンジン「4M41」型を搭載していました。

 これに5速ATと、4つの走行モード(2H、4H、4HLc、4LLc)を切り替えられる「スーパーセレクト4WD II(SS4-II)」、そしてリアデフロックが組み合わされていました。

 内装は7人乗りの3列シートで、本革シートやパワーシート、サンルーフなどを標準装備。燃費はJC08モードで10.0km/Lでした。

 パジェロは、2023年に初代モデルが日本自動車殿堂の「歴史遺産車」に選定されるなど、その功績は今も高く評価されています。

 そんなパジェロは、復活するのでしょうか。SNSなどでは、新型「パジェロ」が開発中で、2026年内にデビューするという噂が広がっています。

 一方で、今回の三菱の発表が「新型電動クロスオーバーSUV」と表現されている点に着目し、もしパジェロであればクロスオーバーではなく「クロカンSUV」と呼ぶはずだ、という指摘もあります。

 また、三菱にはすでに「アウトランダーPHEV」「エクリプス クロスPHEV」が電動クロスオーバーSUVとして販売されていることから、今回のモデルはそれらの次期モデルを示唆している可能性もあります。

 さて、いったいどうなるのでしょうか。真相が明らかになるのは間もなくです。ジャパンモビリティショー2025の開幕を心待ちにしましょう。

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