北陸新幹線の敦賀~新大阪間は、2016年に与党が「小浜・京都ルート」を正式決定しています。「米原ルート」などへの再考を求める動きもくすぶり続けていますが、経由地を「小浜市付近」と定める全国新幹線鉄道整備法と、与党決定の「小浜・京都ルート」を踏まえると、福井県小浜市内の新幹線駅は、JR東小浜駅から西へ進んだ舞鶴若狭道とJR小浜線が交差する辺りに設置される計画です。
小浜市の歴史は古く、2~3世紀のヤマト王権の時代から日本海側の重要な都市として、栄えてきました。朝鮮半島とも交流を持ち、大陸文化やシルクロードを京都・滋賀・奈良に伝える玄関口でもありました。また、「海の奈良」と呼ばれるほど文化財が豊富で、240以上の市指定文化財があります。例えば、福井県で唯一の国宝認定された本堂と三重塔を持つ明通寺は、806年に初代征夷大将軍である坂上田村麻呂が蝦夷征伐に遠征した際に、蝦夷たちの魂を弔う目的で創建されたそうです。皇室に水産物を提供した「御食国」という歴史もあり、若狭グジや焼きサバなども親しまれています。
JR小浜駅は2面3線の規模を持つ中心駅です。2023年の1日平均乗降客数は1528人。駅前の商店街は閉まっている店も多く見られますが、街並みはきれいに整備されています。
この小浜駅から東の新幹線駅の予定地へ国道162号を歩いてみます。若狭町から若狭湾沿いを進んで小浜駅まで来た、「食祭海道」とも呼ばれる国道沿いには、ココスやコメダ珈琲といったチェーン店が。パチンコ屋の名前が「大統領」なのは、かつてのオバマ大統領からでしょうか。
1kmほど市街地を進み国道162号は国道27号と合流。そして南川(湯岡橋)を渡ると「小浜京都ルート早期実現」を訴える看板が小浜線沿いに掲げられていました。橋を渡っても、市街地は続いています。舞鶴若狭道の小浜ICが見えてきます。この辺りが、新幹線駅の予定地です。
京阪の通勤圏としてもアリ?国道は路線バスも走っており、なかなかの交通量です。舞鶴若狭道をくぐると餃子の王将やミニストップ、カーショップなどが並んでいます。街並みは国道沿いに東小浜駅付近まで2kmほど続いていました。
新幹線駅の予定地は小浜駅と東小浜駅の間で、かつ、高速道路の近くですから、市内ではとても利便性がいい立地だと感じました。駅予定地の北側は田畑が広がり、駐車場を含めた利便性を高めるための開発余地もありそうです。
市によると、「小浜・京都ルート」が実現すると京都まで19分(2110円)、新大阪まで38分(5050円)とのこと。
この「新幹線で30~40分ほど」は、東京起点だと東海道新幹線の小田原(3810円、35分)や熱海(4270円、37分)、上越新幹線の熊谷(3780円、38分)や本庄早稲田(4130円、47分)、東北新幹線の小山(4130円、41分)が該当します。
つまり、新幹線が開通すると小浜が京都・大阪の通勤圏になる可能性が高く、かつ、小浜には、そうした需要を受け止められる開発の余地はあるといえます。観光だけでなく、通勤の需要も「あり」と感じた次第です。

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