10月29日より東京ビッグサイトで開催されている「ジャパンモビリティーショー2025(JMS2025)」において、UDトラックスは大型トラック「クエスター」の2026年モデルを世界初公開しました。
【もはや懐かしい!?】これが、新型トラックに搭載された針式アナログメーターです(写真)
「クエスター」は国内販売されておらず、海外専用モデルとして2013年に登場したトラックです。
このトラックはタイで発表・発売されたのを皮切りに、インドネシアやマレーシアなど東南アジア諸国に展開。その後はアフリカ、中東、ラテンアメリカへと市場を拡大し、現在では4大陸46か国以上で販売されています。
会場では、UDトラックスの国内フラッグシップモデル「クオン」GWも展示されていましたが、「クオン」には運転支援機能「UDアクティブステアリング」をはじめとする最新装備が搭載されています。一方、新興国市場では、ドライバーやオーナーが最も重視するのはコストや堅牢性であり、複雑な電子機器を維持・修理することが難しい地域も少なくありません。
「クエスター」は、まさにそのような環境に最適化されたモデルであり、外観こそ「クオン」と似ていますが、車体構造は大きく異なっているのです。
長持ちしなくてもいい? 海外の仰天トラック事情「クエスター」には、UDトラックスが独自開発したオートマチックトランスミッション「ESCOT-E II」が搭載されており、シフト操作を不要にすることで運転負荷の軽減と燃費向上を両立しています。補助ブレーキシステムや油圧リターダーなど、安全性を高める装備も採用。また、最新モデルは欧州連合(EU)の排出ガス規制「ユーロ6」に準拠しています。
国内トラックのフラグシップモデル「クオン」GW 6x4(布留川 司撮影)
一方で、運転席は非常にシンプルな造りで、驚くべきことに、速度計と回転計には近年の国産車ではほとんど見られない針式アナログメーターが採用されています。
また、キャビンは日本仕様よりも広く、運転席後方にはベッドスペースを設置。海外では2名のドライバーが交代で仮眠を取りながら走り続けることも多く、広い車内空間は必須条件だといいます。
「クオン」と「クエスター」の正確な価格差は、販売国や仕様が異なるため公表されていませんが、UDトラックスによれば、車両価格だけでなく、燃費を含めた総所有コストも低く抑えられるとのことです。
日本では「安かろう悪かろう」という言葉があり、長く使うものほど高価であるという価値観が一般的ですが、海外では事情が異なります。
「海外のお客様の中には、『1年しかもたない質の低いトラックでも、値段が3分の1なら毎年新車を買って乗りつぶす』という方もいらっしゃいます」(UDトラックス社員)
とうことで、国や地域によって耐久性に対する価値観がまったく異なるようです。
「クエスター」は、グローバルに展開するUDトラックスのブランド戦略と、世界各地での“働くトラック”に対する考え方の違いを象徴するモデルといえるでしょう。

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