国土交通省 北陸地方整備局は2025年11月、日本海東北道(日本海沿岸東北道)の未開通区間である「朝日温海道路」の事業再評価を行いました。日本海沿いを縦貫する新たな幹線となる日本海東北道ですが、各所で工事が難航し、スケジュールが大きく見直されています。
【え……】これが未開通部でトラブル続発の「日本海東北道」です(地図/写真)
日本海東北道は北陸道と一体になる延長部として、新潟市から秋田市までの約260kmが計画されています。さらに、秋田から東北道へ至る秋田道と連絡することで、日本海沿いに関西から北東北までを結ぶ大動脈となります。
未開通なのは新潟・山形県境の「朝日温海道路」40.8kmと、山形・秋田県境の「遊佐象潟道路」17.9kmです。
●朝日温海道路
朝日温海道路は10月に地元自治体や関係者間で連絡調整会議が開かれたばかりで、工事の遅れや施工の課題などが共有されていました。
今回の事業再評価では、事業費がさらに725億円の増額となる見通しであることが明らかになりました。当初の総事業費1900億円は、合計で3100億円を超える見込みです。
県境の山間部を21本ものトンネルで貫く線形です。10月時点で新潟側は計画16本のうち3本が概成または貫通済み、2本は掘削中。山形側は計画5本のうち2本が概成、1本が掘削中とされていました。
ただ、貫通済みもしくは掘削中のトンネルの地山が想定より悪く、未着手のトンネルでも調査の結果、脆弱さが確認されているといいます。
このため、8本のトンネルについて支保パターン・補助工法の見直しが必要となり、これにより事業費が328億円の追加。さらに、トンネル技術基準の改定を受けた避難坑の追加設置により154億円の追加となる見込みです。
2025年3月末時点で用地進捗率は80%、事業進捗率は39%ということです。開通の見込みは示されていません。
秋田側「遊佐象潟道路」はどうなった?もう一つの未開通部である「遊佐象潟道路」は、山形県遊佐町から秋田県にかほ市までを結ぶ延長17.9kmです。こちらも工事の難航から、2025年9月に開通見込みの見直しが発表されています。
遊佐象潟道路の進捗。この区間は2026年度開通予定(画像:秋田河川国道事務所)
山形側の遊佐鳥海IC~吹浦IC(仮称)間2.3kmは想定以上の転石の処理に時間を要すため、2026年度から2027年度に変更。秋田側の小砂川IC(仮称)~象潟IC間7.3kmについても、想定外の硬い岩盤に阻まれ、2025年度の予定が2026年度にずれ込む見込みです。
そして県境部の吹浦IC~小砂川IC間については、史跡の指定範囲が延長されたことによる設計変更が生じ、2026年度の開通予定から“白紙”の状態となっています。
日本海東北道の開通予定が現時点で分かっているのは、2027年度までに山形県北部、秋田県南部の開通区間がそれぞれ県内の範囲で延伸する、ということにとどまります。

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