エンブラエルは2025年11月11日、A-29「スーパーツカノ」の対ドローン能力を強化すると発表しました。
【画像】追加でパーツが!? これが、ドローン対策装備の「スーパーツカノ」です
具体的には、対ドローン用の新しいセンサーを機体に追加し、そのセンサーとデータリンクを介して情報をやり取り。
エンブラエル・ディフェンス&セキュリティ社の社長兼 CEO、ボスコ・ダ・コスタ・ジュニオール氏は、今回の発表について「現代戦における継続的な課題と、世界各地で増えている紛争は、ドローンに対抗するソリューションの緊急性を示している」と述べています。さらに、「A-29は既に近接航空支援、武装偵察、上級訓練などの多彩な任務をこなせるが、今回の能力強化によって、効果的かつ低コストで無人航空機(UAS)に対抗できる理想的なプラットフォームになる」と強調しました。
近年、ウクライナとロシア、イスラエルとガザ地区といった紛争地域でドローンによる攻撃・偵察が注目されています。しかし、そうした事例だけでなく、エンブラエルの本拠地であるブラジルをはじめ南米でも、麻薬カルテルや反政府勢力がドローンを積極的に活用しています。
2025年8月には、コロンビア国家警察のUH-60「ブラックホーク」がコカイン製造の取り締まり中に、ドローンのたりに体当たりにより撃墜されるという事件も発生しています。UH-60はれっきとした軍用ヘリコプターであり、たとえ軍用ヘリでもドローン相手には安心できないと、このニュースは衝撃を持って報じられました。
こうした小型・低速のドローンは、ジェット戦闘機で撃墜するのが難しい場合があります。そこで、ジェット機よりは遅く、ヘリよりは速いターボプロップ機であるスーパーツカノを“ドローン対応機”として使えば、高価な対空ミサイルを使わずに済み、しかもコストを大幅に抑えられます。購入後の運用コストも含めれば、ジェット機の10~20分の1の価格感というのは、非常に魅力的です。
現在、スーパーツカノは南米諸国で反社会勢力や麻薬組織の取り締まりに積極的に活用されている攻撃機です。こうした背景を踏まえ、エンブラエルはこの対ドローン能力強化キットを、既存ユーザー向けには後付け型として販売するだけでなく、NATO加盟国にも、ロシアなどから飛来するドローンへの対抗手段として、売り込む狙いがあるとみられています。

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