台湾は世界有数のバイク王国です。特にスクーターは広く普及していて、その保有台数は1600万台を超えるといわれています。
【写真で見る】これが台湾政府も「全力支援」のカスタムスクーターです
当然、台湾ではスクーターの改造なども盛んなのですが、街中を歩いていると、目を疑うようなカスタムスクーターを見かけることが時折あります。
そのカスタムとは、大胆にもボディを前後で半分にブッタ切り、左右にズラして連結するというもの。ハンドルやフロントタイヤがある前半分には、荷車のような台車が装着されており、エンジンなどが配置されている後ろ半分は、その台車の横側に取り付けられています。
これによりスクーターは3輪式にされており、一見するとサイドカーが付いたバイクのようにも見えます。しかし、サイドカーはあくまでバイクに繋がれて転がっているだけ。一方こちらのカスタムスクーターはライダーの横にエンジンと駆動輪があるわけですから、まさに“魔改造”とも言うべき代物です。
日本人にはまず思いつかない、この大胆すぎる魔改造。「ブッタ切ったボディを左右にズラせば、その前後にスペースを設けられるぞ」と考案されたのは伝わってきますが、どうしてこのようなカスタムをしたスクーターが走っているのでしょうか。
実はこのカスタム、車いすの人がスクーターに乗って移動するために行われている、台湾ではよく知られた改造術なのです。台車には車いすごと乗り込むことが可能で、必要とあれば、左側には介助者などの補助役の人が、サイドカーのように乗ることもできます。
なんと台湾政府も“改造”をサポート!まさしくスクーター王国・台湾ならではのホスピタリティ溢れるカスタムですが、スクーター本体の価格を除いた改造費用は、おおむね6万~8万元(日本円で約30万~40万円)となっています。
後部から見たブッタ切りスクーター(松田義人撮影)
さらに、このカスタムは台湾政府からも推奨されていて、一定条件をクリアした申請者に対しては、改造費用のうち4万元(日本円で約20万円)の補助金が出されることもあるそう。また、台湾の路上には、このカスタムスクーターのサイズに合わせたパーキングスペースも設けられています。
一連の政府をあげての取り組みは、身体的弱者への配慮意識が高く、「良くなることなら、どんどんルールを変える」という、台湾人の柔軟な気質を象徴する一例といえます。
台湾ではこのカスタムスクーターのユーザーでなくても、松葉杖を持った人がスクーターにまたがり颯爽と移動する様子が見られます。また、足腰が弱くなり杖を使っているお年寄りも、これまたスクーターに乗ってスイスイ移動していることが少なくありません。
台湾人にとってのバイクやスクーターは、生活の足以上の「人の生活を支える存在」になっているように、筆者は感じます。

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