のしかかる「重さ」という大問題

 大型の本格オフロード4WDである、トヨタの「ランドクルーザー」シリーズやメルセデス・ベンツ「Gクラス」は、そのリセールバリューやステータス性の高さから、どちらも絶大な人気を誇ります。

【新車価格は8000万円!】これが「6輪仕様のゲレンデ」です(写真で見る)

 特に、現行“ランクル”シリーズのトップモデルである300系は、2021年の発売当初から注文が殺到。

4年目を迎えた今でもガソリン車の注文は停止中で、ディーゼル車も納車がいつになるか公表されていないほど、注文が積み上がっています。

 また、“ゲレンデ”の愛称で知られるメルセデス・ベンツGクラスは、新車価格が1800万円以上という超高級モデルです。これだけ高額でありながら、Gクラスは常に年間5000台ほど売れており、輸入車の販売ランキングでも常に上位をキープ。2024年は年間で5573台が販売され、輸入車の第7位にランクインしています。

 両モデルに共通する魅力は、車体が大きくて見栄えが良いことや、オフロード車として世界トップクラスの性能を持つことでしょう。また、新車価格が高いのでステータス性も抜群であり、中古車も高値で取引されているため、下取り価格の面でも非常に有利。まさに“持ってよし、売ってよし”なわけですから、人気になるのも当然です。

 とはいえ、価値の高さやステータス性のみで、これらのモデルを選ぶことは推奨できません。ランクルもゲレンデも、元々は本格的なオフロード用モデルであり、街乗り主体のユーザーにとっては、正直オーバースペックなクルマだからです。

 まず問題となるのは、「丈夫すぎる」「大きすぎる」という点です。両車はどんな悪路でも走破できるよう、車体骨格には格子のような形をした、鉄製のラダーフレームが採用されています。当然、薄い鉄板を組み合わせた骨格を持つ普通のクルマと比べれば、ラダーフレームを持つランクルやゲレンデは頑丈です。

 しかし、街乗りの場面でこれほどの丈夫さはあまり必要とはいえず、むしろ重さがネックとなります。実際、車両重量はランクル300もゲレンデもグレードによって2.5トンを超えます。1.5トン前後の一般的な国産SUVや 1トン以下の軽自動車と比べれば、これは超ヘビー級と言っていい重さでしょう。

 そして、重い車体は「走る・曲がる・止まる」という、クルマの基本性能にも悪影響を及ぼします。一般的に重いクルマは加速が鈍く、曲がりにくく、止めるにも強力なブレーキを必要とします。また、走行中は重いボディが上下左右に揺さぶられますから、それを抑えるためにサスペンションも硬くなりがちです。

 つまり、重いクルマほど乗り心地を快適にすることも難しいのです。特にランクルやゲレンデのサスペンションは、前述のとおり悪路での走破性や強度を重視した構造ですから、高額車だからと乗り心地に期待を持つのは見当違いなのです。

切実すぎる数々の“おカネの問題”

 車体の大きさや重さは、そのまま維持費の高さにも直結します。もっともわかりやすいのが、重さに比例して高くなる重量税です。

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“ゲレンデ”の通称でも知られるメルセデス・ベンツ「Gクラス」(画像:メルセデス・ベンツ)

 たとえば「ランドクルーザー300ZX」は重量税が7万3800円なのに対して、「RAV4ハイブリッド」なら1万5000円で済みます。また「カローラクロス ハイブリッド」に至っては、なんとエコカー減税が適用されるため0円です。

重量税は新車購入時だけでなく、車検時にも毎回支払いますから、負担は大きくなります。またランクルもゲレンデも、重い車体を走らせるため大排気量のエンジンを積んでいますから、排気量で課税基準を設けている自動車税も当然高額です。

 さらに、大きく重いクルマは燃費が悪いというのが常で、グレードによっては両車ともWLTCモード燃費が10km/Lを下回ることも。カローラクラスと比較すれば、燃料費は2~3倍かかると思っていいでしょう。

 加えて、タイヤも車体サイズに応じた大径タイプですから、タイヤ本体も驚くほど高額です。同じ銘柄のタイヤでも、たとえば17インチなら1本4万5000円程度のところ、20インチでは約1.5倍の6万6000円ほどになります。つまり移動体として考えると、クルマにとって重いということは何ひとつ良くないのです。

 そして、最後に大変なのが自動車保険と保管環境の確保です。特にランクルは、どのモデルも非常に盗難件数が多いことで有名です。日本損害保険協会がまとめている「自動車盗難事故実態調査結果」によると、ランクルは車名別の盗難件数で、2022年~2024年の3年連続ワースト1。また車上ねらいの件数では、ランクルのみならず「メルセデス・ベンツ」(ゲレンデ以外も含む)もワースト5に入っています。

 当然、車両保険は高額であり、また盗難や車上ねらいの被害が怖いので、下手なところには停められません。

保管する場所は、シャッター付きのガレージがおすすめです。さらに車体の大きさと重さにより、外出先での駐車場探しにも苦労します。普通の立体式駐車場には停められず、平置きでもハミ出ないよう広い区画を持つ駐車場に限られます。こうした点も、この2モデルならではの悩みでしょう。

 本格的オフロード車で超ヘビー級の2台は、街乗り用途だけではいろいろと問題点を抱えていることがわかります。しかし逆に言えば、経済力さえあればどの問題も解決できるのです。ランクルやゲレンデのオーナーであることは、それだけの経済力を持つことの証であり、ゆえに羨望を集めるのかもしれません。もしもこの2モデルに憧れるのであれば、経済力を身につけましょう。これらの問題を乗り越えることができれば、ランクルやゲレンデに乗ることが、真に凄いことだと言えるはずです。

※一部修正しました(2026年1月6日12時33分)

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