経済活動に必要な多くの鉱物資源を輸入に頼っている日本にとって、広大なEEZ(排他的経済水域)に眠る豊富な海底資源を開発し安定供給を確保することは、安全保障の上で極めて重要な取り組みです。国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所海上技術安全研究所(海技研)では、内閣府が行う戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期の一環として、日本の深海に眠る鉱物を探査する海中ロボットシステムの開発を行っています。
【なるほど!】これが「深海の“置くだけ充電”システム」です(画像)
海技研の藤原敏文研究統括監は「今、中国で産出されるレアアースの取引がどうなるのかなど、さまざまな心配があります。我々が行っているプロジェクトは、なるべくレアアースを国産で供給できないか、そういう道筋はないのかということを調べるプロジェクトです」と話します。
開発しているのは、複数のAUV(自律型無人探査機)と探査機の充電機能を持つ深海ターミナルなどを組み合わせた次世代海洋無人機システムです。
レアアースはスマートフォンやパソコン、LED照明から電気自動車のモーターまで幅広い用途で活用されている一方、最大の埋蔵量を誇る中国が精錬過程において9割という圧倒的なシェアを握っており、同国との関係でレアアースの安定供給が左右されるという大きなリスクが伴っています。
政府は2026年1月から日本最東端の南鳥島沖でレアアース採鉱システムの接続試験を行う予定ですが、産業化までには様々な課題があります。その一つが、深海という環境で海底の広域調査を長期間にわたって行い、データを獲得する技術の確立です。
「レアアースがどこにあるのか、掘った時にどの程度、環境に影響が出るのかなど、資源を取りに行くだけではなく、海底・海中環境を調査するということが必要です」(藤原氏)
海底調査では母船とケーブルでつながっているROV(遠隔操作無人探査機)を使う方法もありますが、ケーブルの長さで活動範囲が制限され、深海になればなるほど母船上でのオペレーションも難しくなるという弱点があります。
かといって有人潜水調査船(HOV)は、深海という極限環境へ人間が赴くリスクに加え、安全を確保するための機器や設備が必要になるため運用コストが高く、商用化を見据えた広域の海底調査には向きません。
「我々はどちらかというと、汎用的に長期間使えるものを目指しています」と藤原氏は話します。
「電池がきれる、戻ってこい!」を不要に従来のAUVはバッテリー容量の限界から、稼働時間は長くても20時間程度です。1日動けば母船に引き上げて充電する必要があり、これが調査の連続性を妨げる大きな壁となっていました。
海技研が開発した航行型AUV4号機(画像:海上技術安全研究所)
この「稼働時間の壁」を突破するために開発しているのが、海底に設置する充電ステーション、すなわち「深海ターミナル」。
「お皿のような台座にAUVがポンと座り、上から蓋をするようなシンプルな構造」にすることで、AUV側に特別なドッキング機構を組み込む必要がなくなり、多様なAUVで利用可能になります。
このターミナルがあれば、AUVはバッテリーが切れそうになると自ら海底ステーションに戻り、充電を行って再び調査に向かうことができます。いちいち海上に浮上して母船に回収される必要がないため、天候に左右されず、長期にわたり深海での活動が可能になるのです。
国産レアアースの開発では、その分布や採掘による環境影響を調べるために、広大な海域を詳細に調査する必要があります。新システムでは、洋上の母船に頼らず複数台のAUVを同時に運用することを目指しており、海底に設置したAUV航法の基準局「水中音響灯台」や深海ターミナルと連携した広域モニタリングシステムの構築を目指します。
洋上風力発電の“番人”にもなるAUV深海の調査以外に、深海ターミナルとAUVが活躍するのが洋上風力発電設備の保守・点検の現場です。将来的に大量の風車の設置が見込まれている洋上風力発電において、タワーの基部や浮体といった海中部分を点検するには、人手も船も足りません。
藤原氏は、「発電所には電気が豊富にある」という点に着目しています。洋上風力発電の設備に深海ターミナルを接続しておけば、AUVはそこを拠点に常駐できます。
例えば「3日に1回見てこい」と指示を出せば、AUVが自動で施設周りを巡回・撮影し、取得したデータをターミナル経由で陸上へ送信する、そんな完全無人化された点検システムの構築が可能になります。これにより、点検のために船を出し、ダイバーやROVを手配するコストと手間が削減できます。
「私たちの目指すところの一つとして、国産の商用AUV開発があります」と藤原氏は語ります。
新明和工業の無人飛行艇「XU-M II」。2025年10月に“初飛行”に成功している(画像:新明和工業)
現在、世界のAUV市場は欧米が先行しています。特に欧米製品は、量産効果により安価で、「使い捨て感覚」の運用ができる手軽さが強みです。一方、中国も国家の威信をかけて深海探査技術への投資を行っており、ドローン市場のように圧倒的なシェアとコスト競争力を持つ製品が登場する可能性があります。
しかし、海外製に依存することにはデータの流出や、ランニングコストの増加といった落とし穴があります。
「海外の代理店経由でAUVの調達や修理をすると、時間も手間も費用がかかります。アフターサービスも含めて、国内に基幹産業があって、すぐ修理ができて、メンテナンスもできれば、経済安全保障という観点からもメリットは大きいのです」(藤原氏)
また、海技研はAUVを搭載する「無人飛行艇」開発のプロジェクトにも参画しています。これは中央部に自動投入揚収装置を設けた無人飛行艇が現場海域まで飛び、着水して腹部からAUVを放出、調査後に再び回収して帰還するというもの。いわば「空飛ぶ母船」です。
このプロジェクトは科学技術振興機構(JST)の「経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)」の一環として、JAMSTECや新明和工業、いであと共に実施。この「海空無人機」と大水深で定点調査が可能な「深深度AUV」も同時に開発することで、低速な船舶での移動時間を大幅に短縮し、迅速な調査が可能になります。
藤原氏は「民間企業が使えるようになれば、プロジェクトとしては大成功です」と話します。日本が培ってきた深海探査技術と現代にふさわしいロボット技術を組み合わせ、世界に通じる低コストのAUVシステム構築に向けて着実に技術開発が進んでいます。

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