80000系に合わせてリニューアル

 東武アーバンパークラインこと東武野田線で、2025年11月8日に60000系電車の5両編成が営業運転を開始しました。これは従来の6両編成を5両編成に短縮したものです。

どのように変わったのでしょうか。

【いろいろ違う!】5両編成化した60000系の車内・運転台を見る(写真)

 野田線では60000系とともに、2025年に登場した新型の80000系も使われています。この80000系は「人と地球によりそう電車」という考えを基に、「たのしーと」と呼ばれる子供部屋をイメージしたスペースを備えたことが特徴です。また、野田線の電車は6両編成で運転されてきましたが、新型80000系は5両編成となりました。

 これに合わせて2013年から野田線で使われている“先輩”の60000系も、6両編成から5両編成に短縮し、80000系と同等の仕様に改修されることになったのです。

 5両編成に短縮された60000系も4号車に「たのしーと」を設定。さらに野田線で今後計画されているワンマン運転に対応する改造も行われています。また、6両に分散していた走行機器を5両分にまとめるため、機器にも手が加えられています。

 外観の基本的なデザインは変わらないものの、80000系と同じく4号車の車体には装飾が施され、「たのしーと」の車両だと分かるようになっています。さらに、ワンマン運転を行うべく、ホームを撮影するための車側カメラが設置されました。

 60000系は3色LED式の行先表示器を備えて登場しましたが、2024年にはカラーLED式に交換された車両が登場しました。5両編成化された60000系もカラーLED式の行先表示器に交換され、行先の駅名は白字で表示されています。

「たのしーと」が設置された車内

 車内に目を向けると、青系の色だった座席は80000系と同じ茶色系に、優先席は赤茶系から青系に交換されています。これにより車内の雰囲気は80000系に近付きましたが、袖仕切と呼ばれる座席端部の仕切りは交換されていません。ちなみに80000系は、ガラス製の袖仕切が使用されています。

 先の通り、4号車にはベビーカーを置けるスペースに黄色い1人掛けの座席を備えた「たのしーと」が設置されています。60000系の5両編成と80000系では、「たのしーと」や車いすスペース、優先席の位置が逆になり、連結面から鏡で写したような関係になっています。

 ちなみに、60000系と80000系では、車いすスペースの位置が進行方向に対して左右逆になっていますが、60000系の5両編成でも6両編成時代の位置が継承されています。また、80000系は全車両に車いすスペースを備えていますが、60000系は5両編成も含めて先頭車には車いすスペースがありません。

 60000系は、各扉の上に液晶式の車内表示器を1画面ずつ備えています。5両編成に短縮された編成では2画面タイプに交換された一方、千鳥に配置される形として80000系に合わせています。表示方式も80000系に合わせて車両間用無線通信装置・車内間用無線通信装置が設けられたため、60000系の5両編成では荷棚を短縮した箇所があります。

 さらに、ドアを開閉するための電気式戸閉装置も交換され、80000系と同じくラックアンドピニオン式が採用されています。また、車内の照明器具が交換され、蛍光灯タイプのLED照明に改められています。

 80000系は先頭部の前面ガラスが大きくなり、子供の身長でも乗務員室越しに前面展望ができるようになっています。一方、60000系の5両編成は前面ガラスが拡大されていませんが、乗務員室の扉が変わり、扉のガラス面積が大きくなっています。

 運転台は80000系に合わせて一新され、60000系の5両編成はT形のワンハンドルマスコンをやめて左手操作タイプに変わっています。運転台のパネルも変わり、ワンマン運転で使用するためのマイクや扉の開閉ボタンも設置されました。さらに、駅停車中にホームの映像を表示するための液晶画面も追加されています。

 60000系の5両編成は、2025年度に5本が登場し、最終的には全編成が5両編成に統一される予定です。このときに編成から外れた中間車は、80000系の中間車として活用されます。

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