今後機体の軽量化などの航空機性能の向上も

 アメリカの航空機メーカーであるボーイングの民間航空機部門でマーケティング担当バイスプレジデントを務めるダレン・ハルスト氏が2025年12月、国内の報道陣に向けて記者会見を開きました。そこで同氏は、同社の主力ワイドボディ(複通路)旅客機「787」シリーズを、今後も継続的に改良していく方針を説明しました。

民間旅客機の分野では、初期型が商業的に成功すると、時代の要請に合わせて改良を加えた新たなサブタイプが投入されるのが一般的です。787にも同様の展開があるのかが注目されます。

【写真】超ながい! これが「787の胴体延・延長タイプ」全貌です

 787はANA(全日本空輸)とJAL(日本航空)でも主力として運用されている機体です。特にANAは、開発段階で重要な役割を担う初期発注顧客(ローンチカスタマー)であり、現在も世界で最も多くの787を運航している航空会社として知られています。運航開始は2011年で、サブタイプは胴体の短い順に787-8、787-9、787-10の3モデルで構成されています。ハルスト氏によると、2025年はとくに最大モデルである787-10の受注が好調だったといいます。

 さらに同氏は、787シリーズの今後の改良方針として、機体の軽量化による性能向上や、客室快適性の向上などを挙げました。一方で、「短期的には、787で進めているすべての改良やイノベーションは既存モデルに向けたものになります」と述べ、「現時点で新しい型式をローンチする計画はありません」と明確にしています。

 そのうえでハルスト氏は「しかし、長期的にはあらゆる可能性を排除するつもりはありません。我々の焦点は、787を市場で最高のワイドボディ機ファミリーとして維持し続けることです」とも説明しました。

 近い将来に新たなサブタイプが登場する見込みは薄いものの、長期的には新たな派生型が開発される可能性も、完全には否定されていないといえます。

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