最終的に計80機超えの大規模発注に

  エアバス・ヘリコプターズは2025年12月15日、ドイツからエアバスH145Mヘリコプター20機の追加発注を受けたと発表しました。

【画像】簡単に攻撃ヘリ化! これが、対地兵器を装備したH145Mです

 ドイツはすでに2023年12月、H145Mを62機導入する契約を締結しており、この契約にはさらに20機を追加購入できるオプションが盛り込まれていました。

今回、そのオプションが行使された形となり、これにより同機の納入総数は82機となります。

 なお、追加購入にかかる費用については、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて2024年に創設された、ドイツ連邦軍の近代化を目的とする特別基金から拠出される予定であると、11月にドイツ国内メディアが報じています。この基金は総額1000億ユーロ規模にのぼり、装備の更新、即応力の強化、弾薬の確保など、欧州でも最大級の軍再編プログラムを支えています。

 初号機はすでに2024年11月にドイツへ納入されており、その後も追加機の納入が進められています。H145Mは、訓練、偵察、特殊部隊作戦、軽攻撃など、幅広い任務に対応可能な多用途軍用ヘリコプターです。ドイツ陸軍向けに72機、さらにドイツ空軍の特殊部隊向けとして10機が納入される予定となっています。

 ドイツがこれほど多数の多用途ヘリコプターを導入する背景には、老朽化が進む「タイガー」攻撃ヘリコプターの後継機として位置付けられている点が、大きな理由のひとつとして挙げられます。

 ドイツ連邦軍では、長年にわたり故障率の高さが問題視されてきたタイガー攻撃ヘリの運用状況が深刻化しており、2022年4月には稼働機がわずか9機にまで減少し、連邦議会でも取り上げられました。こうした事情に加え、ドローン技術の進歩なども影響し、ドイツは攻撃ヘリを段階的に退役させ、最終的には全廃することを決定しました。その後継として、対戦車ミサイルなどを運用可能なH145Mに置き換える方針が示されています。

 なお、H145MのベースとなったH145は、日本の川崎重工業と旧MBB社(現エアバス・ヘリコプターズ)が共同開発した中型双発ヘリコプターで、救急医療、消防・防災、警察、報道、人員・物資輸送など、幅広い分野で運用されています。

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